三浦健一&星川開聖

ウインターカップ予選、洛南は激戦の京都府予選の決勝リーグで京都両洋、京都精華学園、そしてライバルの東山を撃破し、全勝で本大会出場を決めた。洛南伝統のパス&ラン、人とボールが動き続けるバスケが高いレベルで形になっている今、ウインターカップでも上位進出が期待される。「僕たちが軸とならなきゃいけない」と強い責任感を持つ三浦健一と星川開聖に、高校バスケ総決算となる大会への意気込みを聞いた。

洛南のバスケは「自分で状況を見て、判断するプレースタイル」

──まずは星川選手から自己紹介をお願いします。三浦選手は、オフコートの星川選手について教えてください。

星川 洛南高校の星川開聖です。宇都宮の鬼怒中学校と宇都宮ブレックスU15出身です。好きな食べ物は鶏胸肉で、毎日1枚食べています。あとはトレーニングが趣味なので、毎日トレーニングしています。一番好きな筋トレは……最近は二頭筋のトレーニングです。プレーはドライブが得意で、1対1が好きでよくやっています。

三浦 開聖は割と静かで授業中もあまりしゃべらないんですけど、面白い一面もあります。自分から積極的に誰かに話しかけなくても、みんなが寄って来て開聖を中心に話が盛り上がったり、話題が広がったりしているので、人気者ですね。性格が頑固なところが結構あって、もうちょっと周りの意見を聞いてもいいんじゃないかと思うこともあるんですけど、特に問題があるわけじゃないし信頼しています。プレーではここぞという場面で点を取ってくれるので、このままで集大成のウインターカップで大暴れしてくれると思います。

星川 信用してもらっている、頼られているのはうれしいですね。ウインターカップでひと暴れしたいです。

──次は三浦選手の番ですね。自己紹介をお願いします。

三浦 洛南高校の三浦健一です。静岡県の浜松市立東部中学校出身で、好きな食べ物はハヤシライスで、寮で出たときは結構テンションが上がります。得意なプレーは、リバウンドを取って自分でボールプッシュして持っていくことと、ドライブと3ポイントシュートです。

星川 健一は性格的にドS、人をめっちゃイジってきます。僕のことも「顔がデカい」とか言ってくるんですよ。たまにですけど褒めてくれるところは好きなんですけど、結構心に来るぐらい強いイジりをしてきます。たまにですけど。

三浦 人としゃべって話を盛り上げるのが好きな性格なので、イジっちゃうのはイジっちゃいますね。でも、やっぱり自分でも相手の反応を見ているので、言った後に「やべ、ちょっと言いすぎた」って思うことは一応あります。でもドSって言われることはよくありますね。

──洛南に来て2人はそれぞれどんな部分で成長できましたか?

星川 洛南のバスケット自体が、考えるバスケットと言われるんですけど、自分で状況を見て、判断するプレースタイルなので、一番は判断力がついたかな思います。

──星川選手は代表活動もありました。そこで学んで洛南で生かせているものはありますか?

星川 代表で感じたのは、ディフェンスの徹底力がまず違うことです。それでチームでも、自分がもっとプレッシャーをかけて、チームのディフェンスのレベルを自分から上げていくことを意識するようになりました。あとはコーチから「あまりバスケットを楽しそうにプレーしていない」と言われることがあったので、今は自分の中でプレーを楽しむ気持ちを忘れないようにしています。

三浦健一&星川開聖

「もっと自分が変わらなきゃ」で自分の代の新チームに臨む

──三浦選手はそんな相棒の成長ぶりをどう見ていましたか?

三浦 開聖は代表から戻って来て、得点はもちろん、ディフェンスでもリバウンドでも安定感がすごく出ました。代表では自分のマークマンにつくのも精一杯かもしれないですけど、それを経験してチームに戻ったら余裕ができて、今までできなかったいろんな部分をカバーできるようになったと思います。

──三浦選手自身の成長はいかがでしょうか?

三浦 1年生のウインターカップではベンチに入れてもらって、ベスト4まで行く良い経験をさせてもらったんですけど、強い3年生が抜けた時に、2年生になった自分がウイングのポジションで点を取ったり走ったり、いろんなプレーを求められる中で、慣れないこともあって苦労したし先生にもいっぱい怒られました。でも2年の終わりぐらいから慣れてきて、それはオールコートでディフェンスにつける脚力が付いたからだと思います。

星川 1、2年のウインターカップでは一緒に悔し涙を流していたんですけど、自分たちの代になってからの健一は自主練も積極的にやっていて、試合では僕にディフェンスが寄っても健一がいるから安心できます。本当にドライブも3ポイントシュートも高確率なので、特に新チームになってすごく信頼度が上がりました。

──三浦選手の変化には、何かきっかけがあったんですか?

三浦 去年のウインターカップで中部大学第一に負けた試合、自分がスタートで出たんですけど何もできませんでした。相手には留学生がいてリバウンドも取れず、開聖が2年生でエースで得点を取ってたんですけど、結局負けてしまった時に、自分がもっと頑張って3年生の負担を減らせていたら、もっと楽にゲームができたと感じました。ウインターカップが終わった後に河合(祥樹)先生とも話して、「もっと自分が変わらなきゃ」という気持ちで新チームに臨んだことで変われたんだと思います。

──星川選手は、洛南に入ってこれまで一番悔しかった経験は何ですか?

1年生のウインターカップ、ベスト4で東山に負けた時です。予選では自分もそこそこシュートが入っていたんですが、小川敦也さんがケガしてしまって、自分がやらなきゃと思って臨んだ試合だったのに負けてしまって、あれは今までで一番悔しかったです。あれは自分にとって分岐点というか、本当の意味でスイッチが入ったタイミングでした。

三浦健一&星川開聖

「ウインターカップでは先生を日本一のチームの監督にしてあげたい」

──去年から世代交代で河合コーチが指揮を執るようになりました。この変更をどう受け止めましたか?

星川 最初はどれだけ変わるのか僕たちも分かっていなくて、吉田(裕司)先生と河合先生が一緒に指導するのかと思ったら、河合先生メインにガラリと変わりました。最初は、言っていることは正しくてもちょっとした不安は正直あったし、ちょっとミスすると交代させられたりして「信頼されていないな」と思ったりもしたんですけど、試合に多く絡むようになって感じたのは、一つのスクリーンとかディフェンスの強度であったり、日頃の練習から細かい部分まで全部見ているんやなと分かって、それは監督が代わって知ることのできた新たな一面だったと思います。今は河合先生からの信頼を感じるし、もちろん僕たちもすごく信頼しているので、ウインターカップでは先生を日本一のチームの監督にしてあげたいという気持ちになっています。

──ウインターカップはもう目前ですが、今のチーム状況はいかがですか?

三浦 全国で勝ち上がっているチームを見ると留学生がいたり日本人でも能力の高い選手がいるんですけど、留学生のいない洛南がそこで戦っていくには、40分間でリバウンドを取らせないとか、ファウルせずに守るとかが大事になります。ただ、チームの練習で留学生とやれるわけじゃないので、実際に試合でマッチアップすると思っていた以上にフィジカルが強かったり高さがあったり、スクリーンアウトしても上から取られたりすると思うので、今よりもっと実戦を想定した練習をやっていかなきゃいけないと思います。

星川 正直、試合に出れる実力があるのが6人か7人で、それ以下の成長がまだ足りないところがあって、5対5をやるにしてもレベルが合わずにもどかしい気持ちになることがあります。それでも「自分が活躍する方法は分かるけど、チームを強くするにはどうしたらいいか分からない」と河合先生に相談した時に、「まずお前が全部を徹底して全力でやることで、周りが刺激されてレベルが上がってくる。それでチームが強くなる」と言われました。それで1対1で自分の練習にならないと思っていても、常に全力で向き合うようにしています。最後の最後でチームとしてもう一段階強くなれればと思います。

──どのチームにも大なり小なり起きることですね。だからこそエースの2人が引っ張る必要があります。

三浦 そうですね。ウインターカップまでに外からのシュートの確率をもっと高めたいです。頼れる相手がいるので困った時は頼って、でも頼ってばかりで負担が大きくならないように2人で負担を分け合いつつ、ディフェンスが寄ったら他の選手にパスを出して託したいです。仲間を信頼してやっていきたいです。

星川 やっぱり本大会でも僕たち2人がプレー時間も長いだろうし、軸とならなきゃいけないと思っているので、もう残された時間は少ないけど練習から自分たちでパッションを出して、良い声掛けを意識して、良い練習をやっていきたいです。

──洛南を応援する皆さんに、「ここを見てほしい」というものがあればメッセージをお願いします。

星川 見てほしいのはユニフォームからハミ出ている腕の筋肉です。僕自身、見てもらうために仕上げていくところがあるので、是非注目してください。本当は腹斜筋とかも見せたいんですけど、ユニフォームを着ていたら見れないので、どうにかして見せたいです!(笑)

三浦 何なのそれ?(笑) 僕たちにとっては最後のウインターカップになるので、悔しい思いはもちろんしたくないです。3年間一緒に頑張ってきた仲間と戦える機会は、決勝まで行くとしてもあと何試合かしかないし、負けたら終わりです。試合に勝つのは当たり前だけど、みんなとの思い出を作るために、接戦とか苦しい展開でも気持ちに余裕を持って、できるだけ笑顔で、プレーを楽しみたいです。