渡邊雄太

オフェンスには苦労するも、守備の安定感は抜群

ウィザーズのホームで行われたネッツとの一戦。八村塁が右足首の痛みのため欠場し、今シーズン2度目の『日本人対決』は実現しなかったが、復帰2戦目の渡邊雄太がディフェンスのトーンをセットする活躍を見せ、ネッツが112-100で勝利した。

第1クォーター残り5分、早くも個人3つ目のファウルを犯したニコラス・クラクストンに代わり、渡邊がコートへ。すると、ウィル・バートンのドライブに対してしっかりとコースに入り、それでもフィニッシュまで持ち込む彼のシュートをいきなりブロックしてみせた。さらにカイル・クーズマにポストアップされたシーンでは、長いウイングスパンを生かしてボールを弾き、マイボールにしようと身体を抑えるクーズマからルーズボールファウルを誘発した。オフェンスではカウンターからレイアップに持ち込むも、ダンクに行こうか迷いが生じ、リングに嫌われてしまう。

第2クォーター序盤、得点を量産していたケビン・デュラントが下がったことでオフェンスが停滞し、ディフェンスも機能不全を起こしてしまう。トランジションスリーを連続で決められるなど約3分間で3-13のランを許して逆転された。それでも、6点ビハインドの場面で渡邊が送り込まれディフェンスを改善すると、カイリー・アービングが個で打開し、いきなり4点プレーを決めて反撃を開始。ギアを上げたアービングが9得点1アシストとすべてのプレーにからむ11-0のランで再逆転した。

渡邊はなかなかオフェンスに絡めずにいたが、残り1分の場面ではトランジションから駆け上がり、速攻からダンクを決めて初得点を記録。その後、1本の3ポイントシュートを放ったが決めきれず2得点に留まったが、結果的に出場時のチーム最多の+14を記録し、ネッツが62-55とリードして前半を終えた。

その後、10得点を固めたデュラントやTJ・ウォーレンの活躍もあり、ネッツは11点リードで最終クォーターを迎え、残り6分半に再び渡邊の出番がやってきた。渡邊はオフ・ザ・ボールの動きからゴール下で合わせるもシュートチェックに阻まれ、コーナーステイの場面では上に逸れたベン・シモンズからのパスをファンブルするなど、最後までオフェンスで違いを生み出すことはできなかった。それでもタイムアップまでコートに立ち続けたのは、ディフェンスの信頼があってこそ。

タフショットを決められはしたが、渡邊は持ち前のフットワークでガードやウイングのアタックを止め、突破を許さないほぼパーフェクトなディフェンスを披露。オフェンスファウルにはならなかったが、正面でドライブを受け止めた際には相手のファンブルを誘い、3秒バイオレーションを誘発した。また、ダニエル・ギャフォードとのマッチアップでは押し負けない力強さを見せつつ、ノーファウルでタフショットを打たせるなど、1番から5番まで守れる守備力を遺憾なく発揮した。こうして、ディフェンスが最後まで崩れなかったネッツは2桁前後のリードを保ち続け、連勝を4に伸ばした。

ネッツはデュラントがゲームハイの30得点9リバウンド6アシストを記録し、アービングが24得点で続いた。渡邊は21分間プレーしフィールドゴール6本中1本成功の2得点に留まったが、出場時の得失点差はクラクストンに次ぐ+13を記録と、ディフェンス面で大きく貢献した。

一方、ウィザーズはベンチからバートンがチームハイの22得点をマークし、クーズマとクリスタプス・ポルジンギスがそれぞれ20得点を挙げたが、ブラッドリー・ビールや八村欠場の穴は大きく、これで7連敗となった。