「ピンチになればなるほど、僕らは気持ちを一つにできた」
3連敗中のホークスが、アップダウンの激しいブルズとの延長にもつれる激闘を制した。ヒーローになったのは、残り0.05秒からアリウープで身体を反転させながらのゲームウィナーを沈めたAJ・グリフィンだ。
だが彼は、このラストショットを決めていなければ戦犯になっていただろう。40分間の出場で3ポイントシュートは11本打って成功わずか2本と決まっておらず、勝負どころの攻防でも経験のなさを露呈していた。ホークスの1点リードで迎えた第4クォーター残り8秒に痛恨のターンオーバーを犯す。一度はファウルと判定されたが、ブルズのコーチズチャレンジが認められ、ブルズにポゼッションを明け渡す。さらにデマー・デローザンのシュートが外れた後、オフェンスリバウンドを取ったデリック・ジョーンズJr.にグリフィンはファウルをしてしまう。フリースローで同点に追い付かれ、2本目は外れて命拾いしたが、試合は延長へと入った。
オーバータイムの最後もめまぐるしい展開となった。残り2秒でトレイ・ヤングがさすがの勝負強さでミドルジャンパーを決め、121-119とホークスが勝ち越すも、残り0.1秒で3ポイントシュートを狙ったデローザンにボーヤン・ボグダノビッチがファウルを犯す。デローザンはジョーンズJr.ほど甘くなく、フリースロー3本を完璧に決めてブルズが土壇場で逆転に成功した。
ただ、デローザンは「油断しちゃいけないのは分かっていた。僕は長くこのリーグでプレーして、信じられない出来事をたくさん見てきたからね」と振り返る。ブルズは決して油断していたわけではないが、ホークスのラストプレーはそれでも止められないものだった。
グリフィンがオーバータイムでゲームウィナーを決めたのは、11月19日のラプターズ戦に続いて2度目。「あの時のことが頭をよぎったよ」とグリフィンが言う。ジェイレン・ジョンソンがリング手前にふわりと上げたパスは、カットしよう腕を伸ばすジョーンズJr.のほんの少し上を通過してグリフィンの手に収まる。彼はこの得点を「コーチが素晴らしいプレーを考え、JJ(ジョンソン)が最高のパスをくれたおかげだ」と振り返る。
高難易度のシュートがブザーとともにリングに吸い込まれると、ホークスの選手たちがすぐにグリフィンを取り囲み、手荒い祝福をする。大熱戦の末に敗れたかに思えた試合が大逆転勝利で終わり、アリーナは大いに盛り上がった。
今年のNBAドラフトで1巡目16位で指名された彼は、即戦力としてローテーション入りし、直近の5試合では先発に抜擢されている。「コーチからの信頼があってこそ、シュートタッチが良くない日でも思い切ったプレーができる。ずっとこの調子で行けと、いつも励ましてもらっているんだ」とグリフィンは言う。
激戦を制することができた理由をグリフィンは「僕らが一致団結して戦えたからだと思う」と語る。「第4クォーターから、すごく良い感覚があった。ピンチになればなるほど、僕らは気持ちを一つにできた。僕らはそれぞれの経験からお互いに学んでいる。これからもっと良いチームになれるはずだ」
ルーキーがオーバータイムに2度のゲームウィナーを決めたのは、1993年のトニー・クーコッチ以来のこと。会見で記者からそう聞かされると「それはクールだね」と笑った。調子が悪くてもアグレッシブな姿勢を失わない彼は、『3度目』をやってのけるかもしれない。