指揮官のパトリック「今日はギャビンと文男が大事な時に活躍してくれました」

千葉ジェッツは12月4日、ホームで秋田ノーザンハピネッツと対戦。第4クォーターをわずか10失点に抑えるなど、最後までディフェンスの強度が落ちなかった千葉Jが75-67で競り勝った。これで6連勝の千葉Jは、今シーズン13勝目(3敗)で東地区首位の座をしっかりキープしている。

試合は、第1クォーターに両チームが4スティールを記録するなど、お互いに序盤から激しいプレッシャーをかけていく削り合いとなる。その中でも、このクォーターだけでオフェンスリバウンドを6本を奪い球際の強さで上回った秋田は、さらに3ポイントシュートを9本中5本成功といきなり長距離砲が火を吹き23-17と先手を取る。

第2クォーターに入ると、千葉Jが富樫勇樹の得点などで盛り返すと、ここから試合は一進一退の展開となり、57-57の同点で第4クォーターに突入した。この場面で千葉Jは指揮官ジョン・パトリックが「今日はギャビン(エドワーズ)と(西村)文男が大事な時に活躍してくれました」と称える両ベテランが躍動する。

パトリックは次のように語る。「ギャビンはオフェンスリバウンドとハッスルプレーに加え、タフショットを決めてくれました。また、スティーブ・ザック選手に対して良いディフェンスをやってくれました。文男は第4クォーターに勇樹が休んでいた時、良いボールコントロールとリーダーシップを発揮してくれました」

この2人の存在によって、千葉Jは第4クォーター残り7分43秒から怒涛の10連続得点で71-62と一気に抜け出す。そして最後までプレッシャーをかけ続け、秋田にタフショットを強いることで逃げ切った。

今節、千葉Jは攻守の両面でゴール下の要となっているジョン・ムーニーがコンディション不良で欠場したことを受け、エドワーズを今シーズン初めて先発起用した。特に今日は31分21秒の出場でいずれもシーズンハイを更新する、19得点13リバウンドを記録した。そして指揮官も絶賛した第4クォーターは、8得点と4つのオフェンスリバウンドを含む7リバウンドの大活躍だった。

勝利の立役者となったビッグマンは、試合をこのように振り返る。「相手はインサイドが強く、アウトサイドには良いシューターたちがいます。その中でフィジカルで負けないように戦う必要があると思っていました。こちらがやりたいような試合にはならなかったですが、特に終盤にかけてしっかりプレーを遂行することができました」

ムーニー欠場の穴を埋める活躍「コンディション自体は上がっています」

シーズン開幕からここまでエドワーズは、調整の遅れも響き2013-14シーズンから続く日本でのキャリアにおいて最も出番が少なく、スタッツも過去最低となっている。だが、パトリックはエドワーズの復調に手応えを得ている。「ギャビンは徐々にコンディショニングが良くなっていると思います。34歳のベテランであり、いろいろと小さな問題も出てきますが、今は非常に調子が良いです」。そして本人も「もう若くはないですが、コンディション自体は上がっています。コートに出る時は、自分のできることを一生懸命やってチームに貢献していきたいです」と巻き返しに自信を見せる。

これまでエドワーズは、Bリーグ屈指のパワーと機動力を備えたビッグマンとして千葉Jの中心的な役割を担ってきた。だが、新体制となった今シーズンは、ヴィック・ローとクリストファー・スミスの両フォワードが多くのシュートを放ち、ディフェンスにおいてもムーニーがトップリバウンダーとなっている。今の千葉Jは、かつてのようにエドワーズを軸としたチーム構成ではなくなっているのは否めない。

それでも、チームファーストの献身的な姿勢で千葉Jをずっと支えてきたベテランは、ロールプレーヤーの比重が高まる新たな役割を何のわだかまりもなく受け入れている。「今日は自分の役割を表す代表的な試合だったと思います。このチームには優れたスコアラーやスキルプレーヤーが揃っています。また、ジョンは素晴らしいリバウンダーです。今日は彼がいなかったのでその穴を埋め、ハッスルプレーをしないといけなかったです。Bリーグでの豊富な経験を生かし、他の選手が効果的なプレーをできるように助けていきたいです」

エドワーズのような実力者が、脇役として泥臭いハードワークをしっかり遂行してくれるのは数字にこそ出ないが、チームにとって大きなプラスとなっている。一緒にプレーするのは6年目となる富樫も引き続き絶大な信頼を寄せている。「チームの中で彼の役割がかなり変わっている中でも、しっかり受け入れてプレーしてくれています。今日みたいな試合になればステップアップしてくれますし、ジョンが戻ってきたら違う役割で頑張ってくれます。3ポイントシュートも入る選手なので、(7本の試投となった)今日みたいにもっと打って欲しいと思っています。いつも通りの彼らしいプレーを今後も続けてもらいたいです」

これからリーグ戦は、平日ゲームも増えるなどよりタフなスケジュールとなっており、各チームともベストメンバーで戦っていくのはより困難だ。チームの総合力がより問われる中、エドワーズのようにどんな役割でも高いレベルでこなせる存在がいることでチームは安定した強さを発揮できる。かつてのように目立つ機会は少なくなったかもしれないが、エドワーズは引き続き千葉Jに不可欠な大きな柱であり続けている。