桜花学園は今夏のインターハイでベスト16敗退を喫した。強豪の京都精華学園が相手とはいえ、高校バスケ界の『女王』の早期敗退は衝撃的な出来事。どの選手にとっても受け止めるのが重すぎる敗戦で、3年生にとってはなおさらだ。それでも日清食品トップリーグで激戦の末にリベンジに成功し、今のチームは勢いに乗っている。エースにしてキャプテンの横山智那美と、タフに戦って攻守にチームを支える菊地実蘭は、揺るぎない自信を胸にウインターカップへと向かう。
京都精華学園にリベンジ「勝ったあの瞬間は忘れられません」
──菊地選手は初めての取材となります。まずは菊地選手から自己紹介をお願いします。横山選手からはオフコートの菊地選手がどんな人なのかを教えてください。
菊地 桜花学園3年生、フォワードの菊地実蘭です。得意なプレーはインサイドでシールして点を取ることと3ポイントシュートです。
横山 差し入れいただいたお菓子が余る時に必ず狙っているのが菊地です。お菓子をいっぱい食べているのに、夜の食事量もすごい(笑)。話していると急に自分の世界の話をし始めて蘭々ワールドに行っちゃうので「戻っておいで~」ってなります(笑)。
菊地 そうですね、たまに……。
横山 たまにじゃない!(笑)
菊地 大阪の人はツッコミが早いんです(笑)。
──でも、プレーの面では頼りになるんですよね?
横山 はい。やっぱり得点力があって、苦しい場面でも強気の攻めを見せてくれるので、全員が下を向くことなくプレーできています。フィジカルも強くてリバウンドの貢献度も高いです。
菊地 ちょっとうれしい(笑)。
──話をオンコートに戻して、先日(11月13日)には日清食品トップリーグで京都精華学園に68-66と競り勝ちました。この試合をどう振り返りますか?
横山 インターハイで負けて、この日のために全力でやってきたので、勝ててうれしいの一言です。負ける気はしなかったんですけど、勝ったあの瞬間は忘れられません。
菊地 ずっと競ったゲームで勝てたこともあって、信じられないほどうれしかったです。
──日清食品トップリーグは今年から始まった大会です。戦ってみた印象は?
横山 インターハイの負けはダメージがすごく大きかったんですけど、トップリーグの毎試合で多くの選手がプレータイムをもらえて、一人ひとりが自信を取り戻すチャンスになりました。その中でも京都精華学園との試合は、出ている選手だけじゃなく出ていない選手も含めて全員の気持ちが一つになって勝てたので、すごく自信になりました。
菊地 横山が言ったようにチームが一丸となれたし、雰囲気がすごく良かったです。ウインターカップに向けて自分たちがどうすれば勝てるか、良いビジョンが持てた大会になりました。
「勝たなきゃいけない相手がいることで乗り越えられた」
──今のスタメンで出ている3年生は横山選手と菊地選手の2人で、残る3人は下級生です。そのチームを引っ張っていく立場で苦労したことはありますか?
横山 私たちが1年生の頃から新型コロナウイルスの影響で思うように試合ができず、今年は井上(眞一)先生がいないインターハイで負けてしまって、今までにないぐらいいろいろな思いがありました。でも今回トップリーグで勝てたことで乗り越えられたので、あとはウインターカップで優勝するだけだと思っています。
菊地 インターハイで負けてから厳しい練習をやってきました。U18日本代表などで全員が揃わない時期もあった中で、今までと違って最高学年なので一番責任感を持って声を出すことを心掛けました。その意識を持ち続けた効果は試合にも出たと思います。
──インターハイではベスト16で敗退して、責任をすごく感じたと思います。乗り越えるまで、一番大変だったのは何でしたか?
菊地 接戦の最後の最後で負けたので、その瞬間は信じられない思いでした。次の日に京都精華が他のチームと試合をしているのを見て、ようやくインターハイが終わったんだと実感しました。でも「これで終わりじゃない」ってすぐ切り替えられたのが良かったです。勝たなきゃいけない相手がいることで、厳しい練習もみんなで乗り越えられました。
横山 インターハイで負けた後は体育館に行くのがつらくて、体育館に行っても涙が止まらなくて。それでも体育館に行けたのは「勝ちたい」の一心でした。気持ちの切り替えは難しかったんですけど、すぐに行動に移せたのが良かったです。あそこでつらくて一度休んでしまったら、本当に乗り越えるのが難しかったと思います。
──トップリーグで京都精華学園に勝った時には泣いていましたね。
横山 勝ったぞー!! って感じでした(笑)。
「もっともっと自分から積極的にアピールしなきゃいけない」
──横山選手はNBAアカデミーにも参加しました。どんな経験ができましたか?
横山 以前にU16でニュージーランドに行ったことがあるのですが、その時は飛び級でメインの選手ではなかったので今回が初めてのちゃんとした海外遠征でした。最初は少し不安でしたが、自分を出さないとパスも回って来なくて、自分をどれだけ表現できるかの場で、「これが海外なんだ」と思って、日本でももっともっと自分から積極的にアピールしなきゃいけないと思いました。NBAの選手から「すごく良い選手」と言ってもらえたし、海外で通用したことが自信になってトップリーグでも思い切りの良いプレーができたので、すごく良い経験になりました。
──ディフェンス部門のMVPを受賞しました。
横山 まさが自分が賞をもらえるとは思っていなかったのでびっくりしました。でも力があるのを認めてくれたのだと思うので、もっと自信を持ちたいです。
──菊地選手から見て、NBAアカデミーを終えて戻って来た横山選手に変化はありましたか?
菊地 海外でプレーして賞も取って、自信を付けたのはプレーを見ていても感じます。もともとキャプテンとして頼れる存在だし、海外で自信を付けてプレーしているのを見ると私たちも良い影響をもらえます。最近はさらに頼もしくなったなと思います。