「こういう試合で下を向いたら負けますが、最後までウチのバスケをやってくれた」
バスケ男子日本代表は、11日未明に行われたワールドカップ2023予選Window5でバーレーンと対戦し87-74で勝利した。日本は第1クォーターに攻守で圧倒し24-10と先手を取ると、前半で17点の大量リードを奪う。しかし、後半に入ると30得点を挙げたムスタファ・フセイン・アリ・アーマッド・ラシェドを筆頭にタフショットを決めていたバーレーンの反撃をくらい、第3クォーター終盤には4点差にまで肉薄された。だが、日本はディフェンスの強度を取り戻すことでこの苦境を我慢すると、第4クォーターに地力の差を発揮して再び突き放した。
指揮官トム・ホーバスは、流れが悪い時にも崩れず精神面でのタフさを見せたとバーレーン戦を振り返る。「出だしは本当に良かったです。張本(天傑)が3ポイントシュートを決め、チームでよくアタックできていました。良いスタートを切りたいと思っていて、実際にそれができたのは大きかったです。(途中で追い上げられた)こういう試合で下を向いたら負けますが、最後までウチのバスケをやってくれました」
この日、最も活躍したのは張本で3ポイントシュート9本中5本成功を含む22得点5リバウンド3アシスト2スティールを記録。第3クォーター終盤の日本が最も苦しい状況で4ポイントプレーを決めるなど、ここ一番のビッグショットでもチームを救った。また、ルーク・エヴァンスも13得点9リバウンド4スティールと見事なプレーを披露。張本が34分12秒、エヴァンスが31分20秒の出場となり、その彼らに次ぐプレータイムが富樫勇樹の20分41 秒だったことが示すように、今回はビッグマン2人が文字通り日本の屋台骨となってつかんだアウェーでの勝利だった。
その上でホーバスは「私たちはガードの層が厚いです」と1番、2番ポジションの選手たちの奮闘ぶりについて言及し、チーム全体でつかんだ勝利だと強調した。「相手の11番(ラシェド)がシュートを決めてからは、他の選手をオープンにすることがあっても彼にプレッシャーをかけなければいけなかったです。いろいろな選手をつけることで、最後に彼は疲れていたと思います。バーレーンは第3クォーター、第4クォーターに連続得点を挙げましたが、私たちは持ち堪えました。フレッシュな若い選手たちを終盤に投入したことで失点を抑えることができました。ベンチから出た若い選手たちを誇りに思うし、みんなが良い仕事をしました」
20得点の河村、ドライブが光ったテーブスと若手ポイントガードが勝利に大きく貢献
Window5のガード陣はコンディション不良で西田優大、比江島慎とこれまで出場機会の多かった2人がいなくなり不安要素でもあった。しかし、落ち着いたゲームメークを見せた富樫、スピードのミスマッチをついたドライブで相手ディフェンスを翻弄し18分33秒の出場で20得点4アシスト2スティールを挙げた河村勇輝の両ポイントガードだけでなく、須田侑太郎、テーブス海、コー・フリッピン、ベンドラメ礼生と出たメンバーたちがそれぞれ期待に応えてくれたとホーバスは続ける。
中でも得意の3ポイントシュートは不発に終わった須田だが、ベテランらしい落ち着いたプレーで勝負どころで頼りになったとホーバスは語る。「試合終盤、須田は経験があるので彼の攻守における自信を持ったプレーは大きかったです。相手がゾーンを敷いて中に絞ったディフェンスをやってきた中で、コーナーから大きな3ポイントシュートを決めてくれました。この試合で目立つスタッツではなかったですが、第4クォーターで大きな助けとなってくれました」
そして、第4クォーターの我慢の時間帯で持ち味のドライブを積極的に仕掛ける強気のプレーで良いリズムを生み出すと、1番に加え2番でも起用したテーブスも大きなインパクトを与えた。ホーバスは次のように振り返る。「相手のガード陣が多く得点を挙げていたので、彼らに守備でのプレッシャーをかけたかった。海はサイズがあってコンタクトに強いガードで、特にペイントでのフィニッシュが良かったです。そして、フリッピンは前半に良い仕事をしてくれましたし、礼生も良かったです」
3ポイントシュートが入らなくなると一気にオフェンスが停滞するなど反省点もあるが、国際経験が豊富でない選手たちが多くコートに立つ中、アウェーで相手の猛追に屈せずに勝ち切ったのは大きな収穫となる。この良い流れをキープし、次のカザフスタン戦も勝つことで心身ともにひと回り成長する姿を見せてもらいたい。