安藤誓哉

文・写真=鈴木栄一

川崎に傾きかけた流れを引き戻す貴重な働き

11月11日、アルバルク東京は川崎ブレイブサンダースとの同一カード2試合目に87-70で快勝し、前日に敗れた借りを返した。この試合、A東京はチーム全体で外角シュートを高確率で沈めたが、その中でも安藤誓哉は3ポイントシュート5本中3本成功を含むフィールドゴール9本中5本成功の18得点をマークと一際目立つ働きを見せた。

試合後にA東京のヘッドコーチ、ルカ・パヴィチェヴィッチは「川崎の追い上げる気持ちを折る形で、第3クォーターの出だしに乗せなかったことが勝利のカギ」と振り返っていたが、この時間帯で最も活躍したのが安藤だった。

第3クォーターの開始約30秒、川崎はターンオーバー奪取からニック・ファジーカスが得点と良い流れを作りかけたが、これを直後に安藤が3ポイントシュートで断ち切る。さらにレイアップも決める連続得点ですぐに試合の主導権を引き戻し、このクォーターで10得点を挙げている。

シュートの好調さが光ったA東京だったが、それでも安藤は「前半の出だし、(前日に)やられたリバウンドとファストブレイクをしっかりできたことで流れをつかめたと思います。ディフェンスからリズムを作れたからこそ、オープンショットが決まって得点を取れました」とディフェンスの踏ん張りが勝利の根幹にあったと語る。

そして、「やはり負けているという部分がありましたし、順位も厳しくなってきて、いろいろな意味でチャレンジャーの気持ちでやりました」とメンタル面での変化も大きかったと続けた。

安藤誓哉

今週末の琉球戦「もう一踏ん張りというところ」

安藤個人でいうと、冒頭で触れたように3ポイントシュートにタイミングよく切り込んでのレイアップと、味方が作り出したチャンスをしっかり決めるフィニッシャーとしての活躍が光った。ただ、それでも本人は満足していない。それは攻撃の起点としてもしっかり貢献したいという強い思いがあるからこそだ。

「味方が作ってくれたチャンスを決められたのは良いことですが、もうちょっとクリエイトしていかなければいけない部分もありました。自分がピック&ロールで仕掛けるオプションもあるので、そこでしっかりとプレーしたいです。それに最後、点数は開いていましたが、しっかりゲームを締めなければいけないと思います」

11月7日、A東京は秋田ノーザンハピネッツに100-55と圧勝しているが、この試合の前まで勝率5割以上の相手に対しては、10月28日の京都ハンナリーズ戦、11月2日、3日の琉球ゴールデンキングス戦、10日の川崎戦と負けが続いていた。この快勝で上位陣相手の連敗は止まり一安心、と言いたいところではあるが、「次も琉球戦ですし、もう一踏ん張りというところ」と安藤が語るように、今週末は琉球、さらに翌週は京都と厳しい日程はまだ続く。

まずは今週末、敵地に乗り込んでホームで連敗を喫した琉球へのリベンジを目論む。「沖縄は本当にこちらを潰しに来る勢いがありましたし、そこに受け身になってしまった感覚はあります。僕たちは、どこかで気持ちが緩んでしまっていたと琉球戦で痛感しました」

この反省と後悔があるからこそ「出だしから本当にアグレッシブに行かないといけない。僕たちには悔しさがあるので、それを初戦でしっかり出していきたいです」とリベンジへの強い気持ちを見せる。

レギュラーシーズン4分の1を終えA東京は10勝5敗の好成績ではあるが、激戦の東地区では首位の栃木ブレックスとは3ゲーム差の3位。あくまで目指すのは地区首位からのリーグ連覇という完全制覇であり、それゆえに「今、置かれているのはタフな状況です」と安藤は言う。逆境で発揮されてきたA東京の底力が今回もまた発揮されるのか。まさにシーズン序盤の踏ん張りところだ。