文=丸山素行 写真=B.LEAGUE

「集中を最後まで切らさないことを、ウチのベーシックに」

川崎ブレイブサンダースとの金曜ナイトゲームは78-87で敗戦。それでも第2クォーターの逆転劇で前半をリードして折り返し、後半もペースアップした川崎に何度も突き放されそうになりながら、集中を切らすことなく食らい付き、終盤まで競った展開に持ち込んだ。負ける時は粘り切れず大敗を喫することの多かったレバンガ北海道としては、『収穫ある敗戦』と言えるだろう。

そんな粘りの展開を引っ張ったのが、北海道のポイントガード、多嶋朝飛だ。「前節(千葉ジェッツ戦)で負け方が悪かったので」と彼は言う。「自分たちのやるべきこと、準備してきたことを、ある程度は最後まで切らさずにできた試合だったと思います。今後はこれをウチのベーシックとして続け、もっと明確にしていくことです」

ドライブインから得点を奪ったと思えば、ドリブルで切り込んでのキックアウトでフリーの状況を作り出し、アシストも4を記録。変幻自在の攻めを見せた。自ら仕掛けて動きのあるオフェンスを演出する多嶋にとって、21得点はシーズンハイの数字。「アグレッシブに攻めることができました」と振り返るが、こう続ける。「ただ、僕が何点取ろうと、勝つことを求めているので。自分が無得点でもチームが勝てば僕にとっては良い試合です。今日の流れを続けていきたいんですけど、どう勝つかは自分の中で突き詰めていきたい」

もっとも、豪快な得点も鮮やかなアシストもあったが、それ以上に重要だったのはキャプテンとしての役割を全うしたことだろう。多嶋は事あるごとに仲間に声をかけて集中を促し、自らの果敢なプレーでチームを鼓舞した。

「チームとして良くない時、ジャッジとか自分の良し悪しとか相手とのコンタクトとか、そういうことで選手が違う方向を向いてしまうとチームとしてまとまりがなくなり、やるべきことができなくなります。そこは声をかけて。出ているメンバーにもよるし、流れや雰囲気もありますが、それを見てハドルで声をかけて。僕と桜井(良太)選手が声をかけて、切らさないように。今日は声も出ていたし、集中を切らさなかったので、そこは良かったと思います」

あとはどう勝ち切るか、「あと一歩」は「大きな一歩」

粘る展開には持ち込んだ。得点も78点取った。そうなると敗因は川崎に87点を奪われたディフェンスだ。

「これだけ取られたらウチは勝てないです。70点以上取って、その上を目指せというのはウチには難しい問題です」と多嶋は現状を冷静に見つめる。「ではディフェンスで、相手の得意な部分をどう出させないか。川崎の場合はブレイクとか、ファジーカス選手や辻選手をどう生かしていくのかだと思うので、チームとしてどう守るかです」

川崎のエース、ニック・ファジーカスには33得点を奪われた。「全部止めるのは無理ですが、『嫌なディフェンスをしてくるな』と思わせるだけでも違ってくるので、それを続けたいです」

明日も川崎との第2戦が控えている。「ディフェンスのチェンジングをしている時にコミュニケーションのミスやプレッシャーの掛け方が曖昧になる部分があったので、そこは修正したい」と多嶋は言う。「個人に指示されたことを、その時に出ている5人がどれだけ対応できるか、どれだけ5人でカバーし合ってつぶせるか。こういう強いチームを相手にするとそこが大事になります」

「あとはどう勝ち切るか──」。この命題は「あと一歩」ではあるが「大きな一歩」でもある。北海道は明日、その一歩を踏み出せるのだろうか。