不祥事を受けて行われたBリーグ特別研修「バスケットボールのブランドを守る」

2018/11/12
Bリーグ&国内
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大河正明

文=鈴木健一郎

モラルではなくプロフェッショナルがテーマ

11月12日、東京都内でBリーグの臨時研修が行われた。B1とB2から12チームの選手、スタッフ約200名を集め、大河正明チェアマンが講話を行い、その後にグループディスカッションも行われた。

この夏に起きたジャカルタでの買春問題、B1所属の現役選手が窃盗で逮捕された事件がこの研修のきっかけ。大河チェアマンは講和の冒頭で「人の物を盗っちゃいけないとか飲酒運転をしてはいけないとか、そんなことを言うために集まってもらったのではありません」と話しかける。モラルではなくプロフェッショナルがテーマであった。

ジャカルタでの不祥事は日本代表活動期間中のものだったが、4選手が所属する京都、新潟アルビレックスBB、大阪エヴェッサ、滋賀レイクスターズの4チームの観客動員が開幕から振るわないことを数字で示し、「集客にこれだけ苦戦していることが、あの事件と無関係とは思えない。京都を見ると若い女性の観客がめっきり減りました」と語る。

大河チェアマンが選手とスタッフに強く訴えかけたのは「Bリーグの、バスケットボールのブランドを守り、向上させていかなきゃいけない」ということ。バスケに限らずスポーツの不祥事が世間を賑わせる状況、「バスケだけでも、この状況を変えたい」と強い口調で話しかけた。

Bリーグ

「3つの勘違いがあるんじゃないか」と選手たちに問う

大きな研修会場を埋めた選手たちで一際目立つのが体格の良い外国籍選手だ。頭一つ抜け出している彼らはイヤホンから流れる同時通訳で講和に聞き入っている。

Bリーグの、そしてバスケットボールの価値を貶めてしまう者、その恐れがある者には「3つの勘違いがあるんじゃないか」と大河チェアマンは言う。人気、実力、報酬がそれだ。

まずは人気。Bリーグになって注目が高まることは課題もはらむ。「皆さんの周囲にはコアなブースターがいる。彼らは全面的に選手を応援してくれるから、何かあっても『選手は頑張っている』と擁護してくれて、審判が悪い、クラブが悪い、リーグのルールが悪い、と言う。でも、彼らの意見は一つの意見でしかありません。熱く応援してくれるコアなブースターはいるけど、黙って去っていく人がいることも感じてほしい。そういう人が批判してくれている間は僕らの味方なんです。コアなブースターはありがたいですが、それは世間の支持、人気とは別だという考えもまた必要です」

そして実力。「まだワールドカップにもオリンピックにも行けない。日本代表は4連敗して4連勝中、あと4試合ある。これを何としても勝ち抜いてワールドカップへの扉、オリンピックへの扉を開いて、それで初めて認められる。レベルが上がっているのは間違いないが、実力が100%身に着いたわけじゃない」と、厳しい言葉が続く。

報酬については「自動的に上がっているわけじゃない」と念を押す。「今回の事件でどんな影響が起きているのか。JBA(日本バスケットボール協会)では代表やウインターカップをセールスして支持を得たいとやっているが、今回の事件で数千万円規模のスポンサーが決まりそうだった話が飛んでしまった。4クラブはスポンサーに頭を下げて事情を説明し、何とか繋ぎ止めるのに必死です」

「皆さんがBリーグをより良くしていってほしい」

研修内容は容赦のないストレートなもので、悪い例として他のスポーツ界の不祥事も、スポーツ新聞の見出しをスライドに出して説明された。プロ野球の賭博行為、大相撲の八百長問題にパワハラ、柔道のハラスメント問題、大学アメフト部の反スポーツマン行為と次々と挙げられる不祥事に、会場の空気は重くなる。それでも、自分たちバスケットボール界の起こした問題も含めて「3年目を迎えるBリーグがああいうことから逃げずに、気を引き締め直してリーグ自体がグレードアップしたいという気持ちを込めました」と、大河チェアマンは講話後に思いを語った。

「禍を転じて福と為す。そのために今日来ている皆さんがリーダーシップを取り、Bリーグをより良くしていってほしい」と呼び掛け、大河チェアマンの講和は小一時間で終了した。

その後に行われたグループディスカッションは非公開だったが、重い不祥事を受けての研修ということもあり、外国籍選手も含めて各チームで実のある話し合いが行われた模様。実際に「禍を転じて福と為す」となるかどうか、結果が分かるのは数年後となるが注視していきたい。