『カッコ良く素敵』を目指す福岡大学附属大濠、片峯聡太コーチ(前編)「一意専心な取り組みからにじみ出るカッコ良さ」

『カッコ良く素敵』を目指す福岡大学附属大濠、片峯聡太コーチ(前編)「一意専心な取り組みからにじみ出るカッコ良さ」

2022/12/06 17:00
片峯聡太

昨年のウインターカップ王者である福岡大学附属大濠は、「日本一カッコ良く素敵なチーム」を掲げている。多くのチームは「堅守速攻」や「全員バスケ」などバスケのスタイルであったり、「全身全霊」のような訓話めいたものとなるスローガンに「カッコ良く素敵」を掲げるのはユニークで、大濠らしさの一つでもある。大濠でキャプテンを務めた後、筑波大を経て教員として大濠に戻り、先代の田中國明からチームを引き継いだ片峯聡太コーチに「日本一カッコ良く素敵なチーム」に込めた思いを語ってもらった。

「バスケットボール自体を高めるような形や姿であること」

──今回は福岡大学附属大濠バスケ部が目指す「日本一カッコ良く素敵なチーム」について聞かせてください。この言葉はいつから掲げているものですか。

田中先生の時代は「楽しく、そしてカッコ良く」というスローガンでした。このカッコ良さは、バスケをする上での立ち振る舞いで必要なこと、こだわりたいことであって、自分を良く見せたり大きく見せようとするカッコ良さではありません。バスケへの一意専心な取り組みからにじみ出るカッコ良さだと解釈しています。

もちろん試合に勝つ強さもカッコ良さで、日本一を目標に活動していますが、私には教員という立場もあって、その目的の神髄は人間教育になります。だからこそ、選手たちをどんな人間に育てるかが私のゴールであって、やはり自分の表情や行いで「素敵な人だな」と思われるような人に行き着かせたい。周りに素敵な影響を与える人になってほしい。それが私の教育の一つの理念でもありますし、私自身の人生のスローガンとして「素敵な人になりたい」というものがあります。

──片峯コーチも高校時代は大濠のバスケ部で「楽しく、そしてカッコ良く」を経験しています。当時の「カッコ良く」で残していかないといけない部分と、時代に応じて変わるべき部分についてどう思いますか。

やっぱり「勝ちにこだわる」のは田中先生から引き継いだものであり、残さなければいけません。カッコ良さの部分では、昔はちょっとダラッとした服装だったりがカッコ良いとされて、自分もチームもそういうものを求めたりしましたが、自分たちがお世話になっているバスケットボール自体を高めるような形や姿であることも大事だと思います。そこは時代の流れに応じて、社会の中で正しいものは少しずつ変わってくるので、それが正しいものなのか、認められるものなのかは私が判断しながらカッコ良さを追求したいです。

片峯聡太

「それを考えて行動できている時点で素敵な人」

──片峯コーチの高校生時代は、ちょっとルーズなカッコ良さでしたか?

当時は全国共通でダボッとしたズボンの履き方が流行っていたし、カッコ良いと思っていましたね(笑)。

──高校生の時からパンツは短く、シャツもちゃんと裾をインしているイメージでした。

いやいや、そんなことはありませんでしたね(笑)。でも、大濠もそうですけど全国的に「強けりゃいい」という風潮が当時はありました。ですが現在だと、バスケが上手、競技力が高い、強いから偉いという価値観は世界中どこを探してもないと思います。もちろん、すごいと思われることはあるかもしれないですけど、「バスケが上手いから偉い」は存在しないと私は思うので。

だからバスケ選手が立ち振る舞いから身なりまでしっかりすることが、本当の意味でバスケットボールの価値を高めると私は感じています。田中先生が築かれた伝統校だからこそ、私がその部分を正していくことで、伝統をさらに価値のあるものにしていけるんじゃないかと思っています。生活面、服装や髪形で指摘されると生徒は少し窮屈に感じるかもしれませんが、そこはきちんとするよう指導しています。

──選手とはどんな形でコミュニケーションを取っていますか?

私もそんなにお利口さんな生徒ではありませんでしたし、彼らがカッコ良く見せたい、見栄を張りたい、髪の毛に艶を付けてみたい気持ちは分かります。その上でミーティングで「日本カッコ良くて素敵なチーム、あるいは選手、人物とはどういうものか。それを1年生のうちから自問自答して学校生活を送り、バスケに取り組んでほしい」と言います。「あれはダメ、これも違う」と締め付けるよりも、自分で「日本一カッコ良く素敵なチーム」とは何かを考えてほしいし、それを考えて行動できている時点で素敵な人だと私は思うんですよね。

片峯聡太

「理解して感謝しながら自分の道を突き進んでもらいたい」

──10代の男子は自分を大きく見せたいと思うものですし、大濠でバスケをやっていれば普通の高校生よりも注目されます。それが間違った方向に行かないために気を付けていることはありますか。

方向性がズレてきていると感じた時には、我々がどういう背景を持っているのかを話します。髪型にしても、一般の生徒であれば検査を通るギリギリでいいのかもしれません。ですがウチの選手は学校を代表して試合に出ますし、学校から支援をいただいて強化試合に行かせてもらうなどの活動をしています。だからこそ、誰からも認めてもらえる存在でなければいけないと彼らには伝えます。

ただこれをガツンと怒ってしまうと、「先生に怒られないためにどうすればいいか」という発想にしかならず、根本は何も変わらないまま「バレないようにどうするか」というズル賢さばかりを生んでしまうので、しっかり考え方を教えることが大事です。そこを理解した上で出す答えであれば、それは彼らなりの答えです。もちろん時間はかかりますし、説明しても分かってもらえず「いや、そうじゃないよ」となることは何度もありますが、根気強くやっていくうちに選手も2年、3年といろんな経験をして、少しずつ分かってきます。やっぱり簡単なことではないので、3年間かけて「日本一カッコ良く素敵なチーム」になっていけばいいんです。

──バスケットボールは習慣のスポーツと言いますが、この「日本一カッコ良く素敵なチーム」を目指す立ち振る舞いが習慣として身に着けば、まさに一生モノですね。

そう思います。人から認めてもらい、支えてもらえるような人になってほしいですね。私も大濠に来て、別に自分がこのチームを強くした、優勝させたとかは本当に思っていなくて、田中先生を始めいろんな方に認めていただいて、実際ここで指導をする中でもいろんな人たちに支えられて助けられて、また選手に恵まれています。

それは私自身が選手のためなら時間も労力も惜しまず「何とかしてあげたい」と思い、行動しているからこそ、いろんな方に認められ、支えていただけるのだと思います。選手たちにも、自分が頑張るのはもちろんなんだけれども、周りから支えられて助けてもらって、それを理解して感謝しながら自分の道を突き進んでもらいたいです。

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