「4年に一度の大事な大会で決勝トーナメントに行けなかったのが本当に悔しい」
バスケ日本代表はグループリーグ1勝4敗で女子ワールドカップ2022を終え、決勝トーナメント進出を逃し、世界との大きな壁を感じる結果となった。この成績が示すように多くの選手が、本来のプレーを発揮することができなかった。リオ五輪に出場した2016年以来の世界大会出場となった渡嘉敷来夢も、消化不良の形で終わってしまった。
「正直、悔しい気持ちです。それに尽きるかなって思います。自分に次があると思ってこの大会に来ているわけではないです。4年に一度の大事な大会をここで終えてしまったというか、負けて決勝トーナメントに行けなかったのが本当に悔しいです」
渡嘉敷はこのように振り返ると、個人としてのパフォーマンスを「シンプルに自分の力不足かなと感じています」と続け、チームの力になれなかったと悔いている。「恩塚(享)さんが求めるバスケットを自分が遂行できなかった。そこが一番ダメだったところです。自分が何かをできなかったというよりは、チームが求めていることだったり、恩塚さんが求めていることができなかったのは申し訳ないなと思います」
今大会、渡嘉敷は5試合で平均4.4得点、5.5リバウンドを記録。リオ五輪で1試合平均17.0得点を挙げてチームを8強入りに導いた日本バスケ界史上に残る名センターは、今大会のフィールドゴール試投数が1試合平均4.2本のみとなった。スクリーンとそこからのダイブがオフェンスでの主な役割となり、「めちゃくちゃ練習しました」と語る3ポイントシュートを放つ機会もほとんどなかった。
そういった内容もあり、「チームとして最後まで全員で戦いきることは、できていたと思います」と言ったあと、自身については「オフェンス面でもディフェンス面でも『ここは手応えがあった、良かった』と言えるところはパッとは思いつかないですね。100%で言うと、自分らしさを出せたのは10%くらいです」と厳しい自己採点をする。
一緒にやりたいと思っていた髙田との共演も長く続かず「リツさんに申し訳ないです」
プレータイムをシェアする起用法もあって、1試合平均18.3分の出場に留まったのも自分のプレーに要因があったととらえる。「恩塚さんが求めるバスケットができれば、出ている人は出ていますし、たぶんプレータイムは伸びていたと思います。ずっとコンディションは良かったですが、それは自己満足だったという感じです」
このように反省の発言が多かった渡嘉敷だが、中でも言葉を詰まらせたのは日本のゴール下を長年に渡って一緒に支えてきた盟友、髙田真希とのプレーだった。3試合目のカナダ戦から渡嘉敷が先発になったことで実現した髙田との共演だが、最終戦のオーストラリア戦では最初の2分のみに終わるなど、長い時間ともにコートに立つことはなかった。
「そこに対して自信を持っていました。やっぱり一緒にやりたいと思っていて、スタートになった時も『ここで上手く行けばこれからも出られるのかな』と頑張りました」。こう語ったあと、渡嘉敷は堪えきれずに溢れた涙とともに「だからリツ(髙田)さんにも申し訳ないと思います」と続けた。
どうしてもネガティブなコメントが続く渡嘉敷だったが、ポジティブな要素もある。各国のトップ選手たちとの対峙することは「本当に楽しかったです」と大きな充実感があり、ディフェンスについては確かな手応えを得ている。
「膝の靭帯を切りましたが、それでもあれだけ思いっきりブロックに跳べるのは次に繋がるのかなって思いました。あとディフェンスでは本当にチームとしても成果が出ていますし、自分自身もディフェンスだったらまだまだ世界とやりあえるのではないかと思っています」
ディフェンス面に加え、今大会こそ不発に終わったが磨きをかけた3ポイントシュートを生かしたオフェンス面でも渡嘉敷ならインパクトを与えることができる。「本当にいろいろな世界の選手とマッチアップしているので、やっぱり世界っていいなと感じました。だからこそ、悔しい気持ちが強くなっている感じです」と今大会で得た刺激を糧に、代表でも本来の力を出す姿を見たい。パリ五輪に向けた巻き返しには渡嘉敷の力が必要だ。