ドノバン・ミッチェル

ガーランドの成熟は待てない、『3年』で優勝を取りにいく

キャバリアーズはドノバン・ミッチェル獲得に成功し、東カンファレンスのトップチームの仲間入りを果たした。今回のトレードで手放したコリン・セクストンは膝のケガから復帰するところで、ダリアス・ガーランドとのコンビを継続させていればまだまだ成長が見込めたが、東カンファレンスを勝ち抜くまで熟成するには何年もかかる。ガーランドはセクストンが抜けたことでポイントガードとしてブレイクしただけに、セクストンが戻れば窮屈な思いをしたかもしれない。

同じく手放すことになったラウリ・マルカネンは、このポジションを埋める選手がいないだけに損失は大きく思える。昨シーズンにキャブズにやってきたマルカネンは攻守両面でチームを円滑に動かす役割を担っていた。スモールフォワードはアイザック・オコロが先発することになりそうだが、特にディフェンス面でマルカネンの不在は響きそうだ。

それでもやはりミッチェル獲得のインパクトは大きいし、ポジティブだ。得点を取る能力はもちろん、プレーオフでの経験を含む勝負強さ、リーダーシップという面でミッチェルはチームに大きな向上をもたらすと期待できる。

昨シーズンのガーランドは、序盤にセクストンが故障離脱したことで攻撃の全権を担い。プレーメークも得点も自分の思うままにやることで一気にその才能を開花させた。だが相手の対策が進むにつれて苦戦するようになり、特にフィールドゴール成功率を落とした。自分の得意なエリアで、得意なシュートを撃つのを封じられれば無理もないが、特にプレーオフになればエースがこの課題をクリアできない限り成功はない。

昨シーズンの最終戦となったプレーイン・トーナメントのホークス戦、彼は21得点9アシストを記録している。これだけ見れば十分なスタッツに見えるが、フィールドゴール27本中成功9本、3ポイントシュートは7本放って成功1本、ターンオーバーも5を記録したとなると、ホークスのディフェンスが上回っていたのは明らかだ。

キャブズはシーズン中盤まで快進撃を見せながら息切れを起こし、東の9位まで順位を落とした。そしてプレーイン・トーナメントではネッツ、ホークスに完敗を喫している。経験不足はいずれ解消されるが、ミッチェル獲得はチーム成熟に必要な時間を大幅に縮めることになる。

今オフに契約を延長したガーランドは2027年まで、ミッチェル、ジャレット・アレン、エバン・モーブリーは2026年まで契約を残している。キャブズには少なくとも、今シーズンを含めてあと3年はこの4人のコアをキープしてNBA優勝を狙うチャンスがある。

優れたタレントは揃っていても、成長には時間がかかるもの。移り変わりの激しいNBAでは、じっくり腰を据えてのチーム作りは好ましくはあってもなかなか成功には繋がらない。キャブズは大きな賭けに出た。クラブの『生きる伝説』であるレブロン・ジェームズ抜きでNBAファイナルまで手が届くか、楽しみなチャレンジが始まる。