RJ・バレット

ドノバン・ミッチェル獲得の話は白紙に?

ニックスがRJ・バレットと4年最大1億2,000万ドル(約166億円)に達する契約延長に合意したと『ESPN』が伝えた。

2019年ドラフト全体3位でニックスに入団したバレットは、1年目から不動の先発を務め、昨シーズンは70試合に出場し平均20.0得点、5.8リバウンド、3.0アシストを記録。ここまでキャリア通算で3000得点1000リバウンドに加え、3ポイントシュート200本以上成功を達成している。これらの数字を22歳を迎える前に達成したのはコービー・ブライアント、ルカ・ドンチッチ、ケビン・デュラント、レブロン・ジェームズという超一流選手のみで、バレットは彼らに次ぐNBA史上5人目の選手となった。

バレットは新シーズンがルーキー契約の最終年となっていたが、今回の契約でニックス史上最年少で総額1億ドルの契約を結んだ選手となった。長らくドラフト指名で苦戦が続いていたニックスにとって、ドラフト1巡目指名でルーキー契約終了後に複数年の延長合意に達した選手は、『ESPN Stats& Information research』によると実に1999年のチャーリー・ウォード以来となる。

ここまでのバレットの実績を考えると、今回の契約延長は妥当なものだ。しかし、ニックスが獲得に熱心と言われているジャズのドノバン・ミッチェルとのトレード交渉には大きな影響を及ぼすだろう。バレットは複数のドラフト1巡目指名権と共にニックス側が提示する交換条件の中心と見られていたが、今回の契約延長によって、バレットがトレードに絡む可能性はかなり少なくなかったと言える。それは『ポイズンビル条項』の存在があるからだ。

今回のバレットのように、ルーキーが所属チームと契約終了前に延長契約に合意し、その後に新契約が施行される前に放出された場合、この『ポイズンビル条項』によって移籍チームのサラリーキャップの加算額が大きく増加する。バレットの場合、2022-23シーズンの年俸は1,090万ドル(約15億円)だが、今シーズン中に移籍した場合、移籍先のサラリーキャップ加算額は規定によって1,090万ドルと今回の4年契約の総額の平均値となる2620万ドル(約36億3,000万円)にまで膨らむ計算だ。そのため『ポイズンビル条項』の選手を絡めたトレードはかなり成立が難しくなっており、少なくともバレットがミッチェルとのトレードに含まれることはなくなったと見られている。今回の契約は、ジャズとニックスの交渉が破談に終わったことを示唆しているのだろうか。