ホーバスヘッドコーチ「私は富樫の判断を知っているし、好きです 」
バスケットボール男子日本代表はイラン代表との国際強化試合に挑み、第1戦を82-77、第2戦を80-58と2連勝で終えた。
チームのキャプテンであり、正ポイントガードを務めている富樫勇樹は接戦となった第1戦は22分30秒の出場で3ポイントシュート6本中2本成功を含む10得点3アシストを記録。そして、快勝した第2戦では19分21秒の出場で3ポイントシュート7本中4本成功を含む12得点6アシスト3スティール2リバウンドと攻守でチームに貢献した。
特に第2戦ではチーム全体で13スティールを奪うなど、日本の強度の高いディフェンスが目立った。リバウンドで28-41と圧倒されたように、世界と戦う際にはサイズ面で相手にアドバンテージを与えてしまうのは仕方のないこと。それでも、日本は運動量を生かした素早いディフェンスに、体格差のある相手にも腰を落としてフィジカル負けしない力強いディフェンスでイランに勝利した。
富樫は第2戦でチームのスティール数が13本にまで上った理由に『ボールプレッシャー』を挙げ、自身の経験を例に出してこう語った。「僕がオフェンスをしていてターンオーバーが起きる時は、やっぱりボールにプレッシャーがかかっていて、判断を上手くできない時にあります。それが逆になって、ディフェンスのプレッシャーによって、相手が迷ってターンオーバーが起きているケースは多いと思います。特に今日はディフェンスのプレッシャーがかなり良かったと思います」
富樫はオフェンス能力に長けたポイントガードで、そのスピードと得点力は世界が相手でも通用するものを持っている。それでもディフェンス面では、167cmというサイズがどうしてもネックになるが、指揮官のトム・ホーバスは富樫がその身長差を覆すほどの実力を持っている選手だと絶大の信頼を置いている。
「私は富樫の判断を知っているし、好きです。彼はオフェンスでペースを作れるし、3ポイントシュートもドライブもある。彼の他にも小さい選手はいるけど、仕方がないんです。ミスマッチがあるのは分かるけど、ウチがちゃんとアグレッシブにアタックしたら、相手にも(スピードの)ミスマッチがある。相手は大きすぎるからウチの速さを止められない。身長は当たり前で、ディフェンスでもいろいろとアジャストできます。富樫はディフェンスもギブアップしないで頑張っている」
「今は本当に5人の連動した動きが徐々に良くなってきている」
イランとの国際強化試合を終えた日本代表チームは、この後、ワールドカップ予選Window4で8月25日にアウェーでカザフスタン代表と対戦し、30日には沖縄アリーナにて再びイラン代表と対戦する。
東京オリンピック後、ホーバス体制が始動したばかりの頃はなかなか勝ち星を挙げられなかった日本だが、アジアカップなど試合を重ねるごとにホーバスヘッドコーチが求めるスタイルを体現できるようになってきている。ホーバス体制となって初めて挑んだワールドカップ予選Window1と2にも出場した富樫は「明らかに変わった」とチームとしての成長を語る。
「正直、(ワールドカップ予選の)中国戦は、どういうバスケットをしたいか、個人として理解していましたけど、いざコートに立ったら何もできませんでした。それは自分一人でできるものではないし、今は本当に5人の連動した動きが徐々に良くなってきていて、特にアジアカップに出場したメンバーはそこがかなり高まってきていると思います。そこに今回は馬場(雄大)選手だったりが入ってきて、少しずつ同じ考えでプレーできるようになってきていて、この2試合は良い経験になりました」