東藤なな子

様々なフィニッシュスタイルでゲームハイの16得点

バスケットボール女子日本代表はラトビアとの国際強化試合『三井不動産カップ』を2連勝で終えた。

12日に行われた第2戦はトランジションを警戒するラトビアの前に速攻がほとんど出せなかったが、3ポイントシュートを38.9%と高確率で成功させ、第4クォーターに突き放し83-54で勝利した。

この第2戦で攻守に奮闘したのが東藤なな子だ。東藤は持ち味であるドライブに加え、カッティングからの合わせで得点を量産。的確なポジショニングから5本中3本の3ポイントシュートを沈め、ゲームハイの16得点を記録した。また、オフェンスリバウンドに絡み、セカンドチャンスポイントを獲得する原動力になるなど、チームハイ(タイ)の4リバウンドを稼ぎ、『三井不動産カップ』のMVPを受賞した。

東藤は第2戦をこのように冷静に振り返った。「昨日、ゾーンをやられた時に停滞してしまったのでそれを修正して入りましたが、それが上手くいっている時間帯もあれば上手くいっていない時間帯もありました。それは恩塚(亨ヘッドコーチ)さんがおっしゃるチャンスを取り切れなかった時なので、それを毎プレーつかみ取れるようにカウンターを意識してもう少しできたらと思いました。それでもディフェンスで前からプレッシャーをかけてアグレッシブに戦えたので、流れを渡さずに日本のペースでできたんじゃないかなと思います」

『チャンスを取り切る』というのは、相手が何をしてくるかによって選手たち自らがプレーを選択し、オフェンス優位な状況を生み出してスコアすることを指す。恩塚ヘッドコーチは「チャンスをチームで作っていくことに関しては息が合った状態が増えてきています。総合的に言うと、目指すプレーの大枠が見えてきた感覚は持っています」と評価した。

東藤もオフェンスでの成長を実感している。「恩塚さんの目指す、手間を省いたところからオフェンスを始めるというのは合宿を重ねるうちに手応えをつかんで、トランジションの中で勢いのまま攻める機会は増えています。そこはオフェンスで成長している部分だと思っています」

それでも、「試合の中でどんな状況でもその場に応じた効果的な選択ができるかどうか。カオスな時につかまえきれていないのが課題」と恩塚ヘッドコーチが指摘するように、試合の中で必ず生まれる停滞した時間を短くすることが今後は求められる。

東藤なな子

役割が増え「そのギャップに最初は戸惑いがありました」

選手は選択肢を与えられるよりも、役割を全うすることだけに集中したほうがプレーしやすいもの。それぞれの持ち味を全員が理解し、それに合わせた選択をすればいいからだ。だが、現在の日本は役割を全うしつつ、さらにその一歩上を行くスタイルに挑戦している。だからこそ、東藤もその自分の選択に迷いがあったと言う。「東京オリンピックの時は自分だったらドライブ、シューター陣はキャッチ&シュートで打てる時に打つと、一人ひとりの役割がはっきりしていました。それが今はカウンターバスケットで3ポイントシュートを打てるなら打つし、ドライブに行けるなら行くという、そのギャップに最初は戸惑いがありました」

それでも、こうした迷いは合宿や実戦を重ねることで次第に解消されていき、視野が広がったことで第2戦では持ち味のドライブ以外のプレーで得点を量産した。「今はディフェンスをよく見る癖がついてきました。他の4人のディフェンスもそうだし、マッチアップしているディフェンスをよく見るようになったので、得点が取れるようになったと思っています」

東京オリンピックにチーム最年少で出場した当時の東藤は役割が限定され、頼れる先輩たちの背中を間近で見てきた。現在は後輩も入り、自身が頼れる存在へと変わってきている。東藤は言う。「オリンピックの時に先輩たちからたくさんのことを学んで、自分も勝利にもっと貢献したいという欲が出てきました。恩塚さん体制での初めての大会がアジアカップでそこで何もできてなくて、ワールドカップで活躍したいと思って頑張ってきたので、練習の成果を出せるようにしたいです」