新潟アルビレックスBB

文・写真=鈴木栄一

ハミルトンの故障をチーム一丸で乗り切る

10月24日、新潟アルビレックスBBは敵地で横浜ビー・コルセアーズと対戦。ダバンテ・ガードナーがフィールドゴール18本中13本成功、フリースロー12本中12本成功による39得点、16リバウンド、5アシストと試合を支配した新潟が88-72で快勝した。

新潟はラモント・ハミルトンがティップオフでのジャンプボールでの着地でひざを負傷して退場。まさかのアクシデントにより、いきなりオン・ザ・コート「1」でこの試合を戦うことを余儀なくされる。一方の横浜は帰化選手のエドワード・モリスにアマンゼ・エゲケゼ、ジャボン・マックレアの3人を先発起用しており、外国籍選手がガードナーのみとなった新潟はサイズで大きな不利を抱えてしまう。

だが、ここで新潟はガードナーのインサイドだけでなく、上江田勇樹の3ポイントシュート2本成功などアウトサイドからもバランスよく加点。第1クォーターを25-20とリードして終える。そして、第2クォーターに入っても3ポイントシュートを効果的に沈めて得点を重ねていく。

また、守ってはハミルトン離脱によるサイズ不足を補うためゾーンディフェンスを敷く選択もセオリーとして考えられる中、新潟は庄司和広ヘッドコーチが「ゾーンをする機会はたくさんありましたが、みんな足をよく動かすことの意識づけができており、頑張ってくれていました。ゾーンを回避して、マンツーマンで通すことができたのが一番の勝因だと思います」と振り返るように、個々が足を使って粘り強く守ることで横浜のオフェンスを抑える。この結果、45-32とリードを広げて前半を終える。

五十嵐圭

五十嵐圭、柏木真介が試合をコントロール

後半に入っても試合の流れは変わらない。新潟はガードナーを軸にしたオフェンスで引き続き得点のペースが落ちず。ほとんどの時間帯で2桁以上のリードをキープすることで、危なげなく逃げ切った。

新潟の庄司ヘッドコーチは「ラモント不在という特別な状況の中でも慌てることなくゲームに入れました。そして、すぐにペースをコントロールしなさいと言いました」と、ハミルトンの開始直後の負傷退場における非常事態への指示を振り返る。

そして新潟は9得点6リバウンド6アシストの五十嵐圭、16得点7アシストの柏木真介の両ベテランガードを軸に、この指示をしっかりと遂行。自分たちの得意とするテンポで試合を運べたことが勝利につながった。

逆に横浜はトーマス・ウィスマンヘッドコーチが総括するように、自分たちの目指す展開に持ち込めなかったのが痛かった。「今日は新潟のバスケットボールを完璧にやられてしまった。向こうはハーフコートバスケットボールが得意で、それをさせないためにもフルコートでオフェンスをしようと話していましたが、エナジーが足りずにボールをプッシュできなかった。向こうの得意な分野で戦ってしまった」

トーマス・ウィスマン

悩めるウィスマン「自分たちは最も失点が多い」

新潟は、横浜のガードナー封じで多用してきたゾーンディフェンスに対して「ゾーン対策は、しっかりとしてきました。もともとウチはゾーンを得意としているところもありますが、強みが出たと思います」としっかりと対応。ゾーン守備崩しのキーマンである五十嵐が39分18秒、ガードナーが39分32秒のプレータイムと2人に依存し過ぎた感はあるが、相手ディフェンスを難なく攻略した。

ハミルトンの故障の詳細が気になるが、大きなアクシデントに遭遇しても冷静に対処して勝てたことは新潟にとって大きな弾みとなる。一方の横浜は、連勝した先週の滋賀レイクスターズ戦で改善の兆しが見えたと思われた守備が再び崩壊。「自分たちはリーグで最も失点が多い。ディフェンスをしっかりさせるための答えを見つけ出さないといけない」とウィスマンヘッドコーチが語るように、一刻も早く守備改善のきっかけをつかみたいところだ。