ナゲッツ

ガードキラーとして3&DプレーヤーのKCPを獲得

ナゲッツは2シーズン連続でMVPを受賞したニコラ・ヨキッチを中心に、ジャマール・マレーとマイケル・ポーターJr.という2人のスターを欠いても勝てるチームとなりました。ここ数年の成功ですっかりローカルチームのロールモデルとなり、2巡目指名から史上最高額の契約を手に入れたヨキッチのように、下位指名権でも有望株を指名し確実に成長させる育成力もあって、フロントスタッフやアシスタントコーチが次々に引き抜かれています。地味にチーム力がダウンしているように見えますが、このオフも適切な補強を行いました。

アーロン・ゴードンを獲得した時のナゲッツの狙いは、レブロン・ジェームズやカワイ・レナードといったウイングエースを止める事にありましたが、結果的にはデビン・ブッカーやステフィン・カリーらのガードエースを止める術がなかったことがプレーオフで響いてしまいました。そこでトレードで『KCP』ことケンテイビアス・コールドウェル・ポープを獲得すると、さらにフリーエージェントでブルース・ブラウンを獲得しました。的確に弱点を補っただけでなく、チームカラーに適した選手だけに、素晴らしい補強と言えます。

ナゲッツのオフェンスはヨキッチのスタイルそのままに『様々なプレーをする』のが特徴で、一つの形にこだわらず、次々に変化していきます。その中で選手全員に求められることはオフボールでの適切なポジショニングと、3ポイントシュートとカットプレーを使い分けることです。ハンドラーとしての能力には課題のあるKCPですが、コーナーにポジショニングしてフロアを広く保つスペーサーであり、ランニングプレーでディフェンスの死角を突くこともできます。40%近い3ポイントシュート成功率は安定したシュート力を持っているように見えますが、昨シーズンも1本も決まらない試合が16試合あったようにやや不安定な要素も抱えていて、シュート以外での貢献ができるナゲッツオフェンスはKCPにとっても良い環境に見えます。

ブルース・ブラウン

ヨキッチの代役として期待されるブルース・ブラウン

ポイントガードながらネッツではセンターまでこなしていたブラウンは、さらにナゲッツ向きの選手であり、多用なポジションで多彩な役割が与えられそうです。特にガードとしてスクリナーになると、マレーから相手のエースディフェンダーを外すこともできれば、ポーターをオフボールでフリーにする役割も担えます。ブラウンの見えないところでの働きはオフェンスの可能性を大きく広げてくれるでしょう。

何よりもブラウンにはヨキッチの代役として、ポイントセンター的な役割を期待したくなります。インサイドのプレーメーカーが重要になってきた近年のNBAですが、その役割をセンター以外が担う動きも出てきました。ブラウンはハンドオフを多用したプレーメークが上手く、ハイポスト近辺からシューターを活用する事ができます。ブラウンを失ったネッツは、ジャズで似た役割を担当していたロイス・オニールを獲得しており、1つのトレンドとしても面白い役割です。

目立った補強ではないものの、弱点であるガードディフェンスの強化とオフェンスの多彩さを継続できる2人の獲得は極めてスマートな動きでした。一方で長くチームリーダーとして引っ張ってきたウィル・バートンと、堅実なポイントガードとしてゲームメークしてきたモンテ・モリスを失っており、ケガから復帰するマレーがチームリーダーとしても、ポイントガードとしても結果を残すことがステップアップには欠かせません。

主力を欠いてもプレーオフに進んできた中で、2年ぶりにフルメンバーが揃いそうな新シーズンは優勝の期待も膨らみます。