「後半のディフェンスこそ私たちが前に進んでいくために必要です」
アジアカップ2022の初戦、バスケットボール男子日本代表はカザフスタン代表に100-68で快勝した。トム・ホーバス体制の下では待望の代表初登場となった渡邊雄太が21得点8リバウンド4アシスト3ブロックと攻守で流石NBA選手という格の違いを見せつけると、河村勇輝が8得点8アシスト2スティール、西田優大が16得点、富永啓生が13得点と期待の若手選手たちも躍動。いろいろな課題も見えたとはいえ次戦へ弾みがつく勝利となった。
前半、日本はカザフスタンに次々とアウトサイドシュートを決められるなど、ディフェンスが機能せず45-48と大量失点を喫して試合を折り返す。しかし、後半に限ればわずか20失点とディフェンスを一気に立て直した。
この点についてホーバスは、試合後の会見で次のように振り返った。「カザフスタンはアグレッシブなチームで、試合の出だしにゾーンディフェンスで来られてリズムが少し崩れました。ゾーンに対応できるようになって第2クォーターの終盤にかけてオフェンスはより効果的にでき、ディフェンスもアジャストして後半に向かうことができました」
「このアジャストが試合を大きく変えました。カザフスタンはオープンでのシュートを打てなくなりました。そして彼らがペイントアタックを仕掛けた時にターンオーバーを多く奪い、そこから私たちのやりたいトランジションオフェンスができました。特に後半のディフェンスの遂行力、エナジーはもう一つ上のレベルに行きました。それこそ、私たちが前に進んでいくために必要です」
河村を絶賛「自分の役割を果たし、試合にインパクトを与えてくれました」
攻守に渡って期待通りの活躍を見せた渡邊について、ホーバスはこう語る。「富樫(勇樹)と彼は5日前にチームに合流しましたが、とてもスマートな選手でシステムをすぐに習得してくれました。ディフェンスではとても良い役割を見つけてくれ、素晴らしいブロックなどでゴール下を守ってくれました。これができる選手は私たちにほとんどいません。オフェンスはシュートの調子は良くなかったですが、どうやって得点を挙げればいいのか分かっています」
また、指揮官は、絶対的なエースでありながら味方の好プレーには率先して反応し、チームの士気を高めている渡邊のリーダーシップにも厚い信頼を寄せている。「雄太はとてもエナジーが出ていて、後半はとても楽しんでプレーしている感じでした。富永が3ポイントシュートを決めると周りを盛り上げ、河村のスティールにとても興奮していました。その様子を見るのは私も楽しかったです」
そして、得意のアシストとスティールで日本に勢いを与えた河村の活躍を絶賛した。「彼は練習から良いパフォーマンスを見せていて、Window3のチャイニーズ・タイペイ戦でも本当に素晴らしいプレーでした。今日も守備面で同じことをやってくれて、試合の流れを変えてくれました。彼は若いですが、自信を持っていて自分の役割を果たし、試合にインパクトを与えてくれました」
ただ、ポシティブな要素ばかりではなく、課題も見えている。特に注目すべきは、今回も38本中12本成功(成功率31.6%)に終わった3ポイントシュートの精度だ。シュートは水物であるが、この試合ではオープンの場面やキックアウトからのキャッチ&シュートなど、理想的な状況で多くの本数を打てていた中、確率が上がらなかっただけにホーバスも苦い表情だった。
「多くのオープンスリーを外してしまいました。何人かのシューターは若くて経験不足で、彼らは落ち着いてシュートを打つ必要がありました。富樫、河村がペイントアタックをして、オープンで3ポイントシュートを打っていた状況では40%近い成功率で決めるべきです。それができれば私たちを破るのは大変です」
予選グループ残り2試合はシリア、イランとよりフィジカルで試合運びも巧みな相手との対戦となる。前半からカザフスタン戦で見せた後半のようなチームディフェンスを遂行し、オープンの長距離砲をしっかりと決めきる姿を見せることができれば、グループ1位通過への道を切り開けるはずだ。