ディアンドレ・エイトン

運動量と万能性で様々な戦術に対応できる、23歳のエイトンの行方は?

今年のフリーエージェント市場で最大の目玉とすらされていたディアンドレ・エイトンですが、1週間が経過しても契約が決まっていません。本人が望むマックス契約でなかったとしても相応の提示はあったはずですが、ケビン・デュラントがサンズへのトレードを希望していることもあってか、なかなか決着しません。

サンズもビッグマンの補強が進んでいるとは言い難く、残留も十分に考えられます。制限付きフリーエージェントのため、エイトンがどんな契約を結んでもサンズは残留させることが可能です。しかし、残留させればデュラントの獲得は難しくなり、千載一遇のチャンスを逃すこととなります。リーグ最高勝率を残しただけにデュラントよりもエイトンの方が重要にも思えば、プレーオフで勝つためにはスペシャルな存在を見逃すわけにもいきません。

役割分担が明確なサンズでは、エースのデビン・ブッカーやポイントガードのクリス・ポール、さらにはエースキラーのミケル・ブリッジスに比べて難しいタスクをこなしているわけではないエイトンですが、何度でも献身的にスクリーンをかけ、パスが来なくてもゴール下へのダイブを繰り返し、時には速攻で先頭を走る攻守の切り替えと運動量は魅力です。そして、何よりもファウルが少ないためプレータイムが長く、普通のセンターではこなせない量のタスクを担っています。その上でスイッチしてガード相手にも対応できるディフェンス力や、ミドルレンジのシュート力、ワイドに展開できるパス能力と非凡な万能性を備えており、エースタイプではなくても、運動量と万能性で様々な戦術に対応できるセンターです。

23歳という年齢もあって、長くチームの核になれることから優勝候補よりも再建チームから需要があり、高いサラリーを提示される可能性も十分にあります。しかし、最も興味を持っていたとされるピストンズはドラフトでジェイレン・デューレンを指名し、マービン・バグリーとも再契約するなど、ビッグマンの枠を埋めてしまいました。多くのタスクをこなせる選手よりも、様々なタイプを揃える方が使い勝手が良い面もあり、エイトンに価値を見出すかはフロントの判断次第です。

直近ではキャップスペースに余裕のあるペイサーズに獲得の噂が出ています。既にマイルズ・ターナーがいますが契約が残り1年になっており、若手中心のチームでの役割に納得せず契約延長しなければ、トレードに出される可能性もあります。もしもペイサーズがエイトンと契約すれば、今度は優勝を狙うチームがターナーの獲得に動くかもしれません。

エイトンとデュラントの行方が注目されている中で、更にターナーのような付随したトレード要員まで考えていくと、多くのチームが絡むトレードに発展するだけに、エイトンが決まれば一旦は落ち着きを見せている市場が再び騒ぎ出し、まだまだ波乱が起きるかもしれません。