佐藤卓磨

「相手の手で隠れて見えない中でも、決めきる力をつける努力をしている」

男子日本代表の指揮官がトム・ホーバスに変わったことで、多くの選手にチャンスが与えられるようになった。この千載一遇の機会を生かし、代表定着に大きく前進したのが佐藤卓磨だった。FIBA主催の国際試合におけるフル代表デビュー戦となった、Window2のチャイニーズ・タイペイ戦では3ポイントシュート3本成功に加え、3オフェンスリバウンドと持ち味を発揮し、76-71の勝利に大きく貢献。試合後、ホーバスが「私たちがまさに必要としていたプレーをベンチからしてくれました。彼は1on1からの得点を狙うのではなくリバウンド、タフなディフェンスをして、オープンからのシュートを決めました。彼は自分の役割を分かっています」と、絶賛するパフォーマンスだった。

この活躍もあって佐藤は今回のWindow3でも順当にメンバー入りを果たしている。佐藤がすぐに代表にフィットしたのは、本人の努力に加え「ハードなディフェンス、リバウンド、3ポイントシュートを打つのが役割です」と求められるプレーが所属する千葉ジェッツと基本的に同じであることも大きい。

「自分の役割が明確になっているので、やりやすいです。迷いがなくなります」と語る佐藤は、いよいよ明日に迫ったオーストラリア戦についてこう意気込んでいる。「3ポイントシュートを打てる状況をもっと増やしたいです。オーストラリアはBリーグの対戦相手と比べ、ディフェンスのチェックする手の高さが違います。ただ、リングが相手の手で隠れて見えない中でも、決めきる力をつける努力をしているので、それを出したいです」

シュートをより良い状況で放つために「自分がどうやって動いてシュートを打てるのか、積極的にコミュニケーションを取っています」と、佐藤は周囲とコミュニケーションをよく取ることを意識している。そして、チーム全体としては、攻守ともに運動量を増やすことでさらに進化できると考えている。「代表は5アウトの形で攻めることが多いので、みんながよく足を動かさないと機能しないです。また、みんながよく考えて相手のディフェンスの動きを読めれば、5人が1つの生き物みたいなバスケットができると感じています」

Window2のオーストラリア戦では、佐藤は3ポイントシュートが4本中1本の成功に留まった。前回の反省を生かし、難敵相手にも長距離砲を爆発させることができれば、代表定着に向けて大きな一歩となる。それができるだけのポテンシャルと、ホーバスの目指すスタイルとの相性の良さを佐藤は備えている。