ディフェンスへの自信を深めるが、オフェンスについては課題が残る2試合に
6月19日、女子日本代表はトルコ代表との強化試合を実施。77-49で圧勝した前日に続き、この日も出だしから平面での激しいプレッシャーによる強固なディフェンスで相手に多くのタフショットを打たせ、83-57と快勝した。
この試合、日本はトルコもアジャストしたことで前日のように出だしからオフェンス爆発とはならず、第1クォーターは14-9と重たい立ち上がりとなった。しかし、第2クォーターに計8ターンオーバーを誘発と、守備からリズムをつかんで一気に突き放すと、後半も自分たちのやりたいバスケットボールを展開し、主導権を握り続けて危なげなく逃げ切った。
キャプテンの髙田真希は、チームトップの25分出場で5得点3リバウンド2アシストを記録。チームの流れが悪く我慢する時間帯において、持ち前の堅実なディフェンスでチームを助けるなど、いつも通りではあるがスタッツに現れない部分でも貢献が光っていた。
若手も多くメンバー入りした今週末の強化試合において、あらためて攻守における遂行力の高さでチーム随一の安定感を披露した髙田は、本日の試合をこう振り返る。
「昨日に引き続きタフなディフェンスからブレイクに持っていく形はできていましたが、今日はアジャストされた部分もあって、なかなか自分たちのリズムでオフェンスができなかったところもありました。ただ、その中でも苦しい時間帯は我慢して粘っていくことで、相手にも思うようなバスケットをさせなかったです。自分たちのディフェンスで今までやってきたことは自信になりましたが、オフェンスの展開については課題を感じました」
トルコが若手主体で経験不足なメンバー構成であったことは考慮しないといけないが、それでも日本代表は高さでは不利な中、オフェンスリバウンドで16-5と大きく上回り、セカンドチャンスポイントで21-3と圧倒した。これはチームとして今まで以上にウェイトトレーニングを行っている成果が出ていることを示している。「ワールドカップで金メダルを取るためには、フィジカルがすごく重要になってくるので、そのためのトレーニングを今まで以上にやっています。また、元々持っているものを良くするために走り出しの強化もやっています」と、髙田も手応えを得ている。
過酷日程のワールドカップでは、日本のタイムシェアによる全員バスケが強みになる
また、今回は強化試合でテストの場であったことが大きいが、それを差し引いても、恩塚ヘッドコーチ体制になってからプレータイムのシェアは進んでいる。実際、2月に大阪で行われたワールドカップ最終予選も10名ローテーションを敷いていた。このシェアは、女子代表のスタイルの根幹となる前から激しく仕掛けるディフェンスを40分間継続していくために不可欠な部分だ。髙田は言う。
「恩塚さんの目指すバスケットボールがアグレッシブなディフェンスで相手のミスを誘い、体力を削っていくスタイルであることをみんなが理解し始めています。それができているからこそ、今週末の2試合は上手くいった部分があります。前半から相手の体力を削ることができれば、苦しい時間帯を我慢していくことで後半に自分たちのバスケットボールができる展開に持っていけます」
さらに髙田は「タイムシェアをして、それぞれがコートに立っている時間、全力でやることがベストだと思っています。そこを自分たちは信じていくだけです」と語り、このスタイルの完成度を高めるために必要なことを続ける。「短い時間の中でそれぞれがベストを出すためには、みんながやることを分かっていないといけないです。誰が出ても同じペースでバスケットをするためには、コミュニケーション能力と理解力が求められるので、そういったところをこれからも培っていきたいです」
金メダルを目指すワールドカップは6カ国によるグループリーグを6日間で5試合こなす過酷なスケジュールだ。絶対的なエースプレーヤーに依存するのではなくチーム全員で戦う日本にとっては、それが有利となる要素と髙田は考える。「ワールドカップは連戦でタフな試合が続くだけに、タイムシェアの戦いを自分たちが習得すればどのチームが相手でも勝てると感じます。タフな試合が続くことで、自分たちのタイムシェアが強みになると思います」
女子代表は若手の台頭でより層が厚くなるなど、さらなる進化を期待させる戦いを今回の2試合で見せてくれた。ただ、そうした世代交代が進む中にあってもコート内でのプレーや卓越したリーダーシップ、そしてファンの心に響くコート外での発信力も含めて髙田の存在の大きさは変わらない。そのことをあらためて実感させられた週末となった。