出だしからエナジー全開のディフェンス、試合の主導権を握って逃げ切り
宇都宮ブレックスは4月20日、ホームで川崎ブレイブサンダースと対戦。40分間、激しいプレッシャーをかけ続けることで川崎得意の長距離砲を封じ込め、68-64の守り合いを制した。
試合の出だしから宇都宮はエナジー全開で前から圧力をかけ続け、川崎のピック&ロールを潰して攻撃の起点を作らせない。その結果、川崎のインサイドアタックを封じ込め、外からのタフショットを強いることで第1クォーターで18-12と先手を取る。
第2クォーター以降も宇都宮は強度の落ちないディフェンスで川崎のボールムーブを停滞させると、21得点を挙げたアイザック・フォトゥのゴール下やテーブス海のスピードに乗ったアタックなどで加点し、第3クォーター終了時点で14点のリードを奪う。第4クォーターに入ると、川崎の激しいプレッシャーにリズムを崩し、このクォーターで8ターンオーバーを献上。残り1分で4点差にまで詰められるが、要所をしっかり締めて逃げ切った。
リーグ屈指の破壊力を誇る川崎オフェンスをしっかり抑えたことに、宇都宮の安齋竜三ヘッドコーチは、大きな手応えを語る。「出だしからずっとディフェンスのプレッシャーがしっかりあり、いろいろなディフェンスをやる中でも選手の遂行力がすごく高かったです。リバウンドを全員で取りにいけていたのが最後、勝ちに繋がったと思います。川崎相手に64点に抑えるのは難しいので選手たちは本当によくやってくれたと思います」
安齋ヘッドコーチ「誠司が最初に圧をかけてくれるのが、うちのディフェンスの始まり」
試合の立ち上がり、チームに良い流れをもたらす立役者となったのが鵤誠司だ。「チームとしてしっかりとやることができました。リバウンドでも勝っています。3ポイントシュートをあまり打たせたくない中で31本打たれましたが、確率は良くないタフショットを打たせて、そこを抑えたのが良かったと思います」
また鵤が「ディフェンスで相手のガードに前からつくので背中で気持ちを見せたい。それが多少はできたと思います」と語ったように、彼は先頭に立ってプレッシャーをかけ、後ろにいる味方が守りやすい状況を作り出した。オフェンスでも第1クォーターにオープンとなった2本の3ポイントシュートをしっかり決め切り、9得点3アシストと攻守に渡って活躍した。
3月にコンディション不良から約1カ月欠場が続いた鵤だが、4月2日に実戦復帰すると16日の富山グラウジーズ戦から先発に復帰した。ゲーム勘、コンディションともに「不安は別にないです」と本人は語り、安齋ヘッドコーチも「コンディションは休んだ分、逆にいいのかなという感じはしています。動きも復帰してからある程度経ちましたが、いいです」と続ける。
そして、スタッツに出ない部分での貢献が際立つ鵤の存在の大きさを指揮官はこう評する。「誠司は全体的なバランスをとって、チームに良い状況をもたらしてくれる選手です。ディフェンスに加え、オフェンスの作り方でもよくやってくれています。誠司が最初に圧をかけてくれるのが、うちのディフェンスの始まりなのでそこをしっかりやってくれてありがたいです」
鵤「チームでしっかりリバウンドを取れたのは自信になりました」
宇都宮にとって、リーグ屈指のサイズを誇る川崎相手にチェイス・フィーラー欠場の中でもゴール下の肉弾戦で優位に立つなど自分たちのアイデンティティーである堅守で勝ち切ったことは少なくない意味を持つ。鵤もチームの弾みになるものと考えている。「すごく良いディフェンスがチームとしてできました。今日、川崎のシュートがあまり入らなかった部分はありましたが、チームでしっかりリバウンドを取れたのは自信になりましたし、良かったです」
今週末、宇都宮はチャンピオンシップ圏内にいる秋田ノーザンハピネッツと対戦。そして4月30日と5月1日は千葉ジェッツ、5月7日と8日にはアルバルク東京と、チャンピオンシップのクォーターファイナルで対戦する可能性のある両チームとも直接対決が控えている。
「最近、上のチームに勝てていなかったですが、自分たちもやるべきことをやり続ければ勝つチャンスがある。それを証明できて、自信になりました」。安齋ヘッドコーチがこう語るように、今回の勝利は自分たちが何をやれば結果がついてくるのかあらためて明確になった部分でも大きいものとなった。
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