栃木がリバウンドとディフェンスの強さで後半に突き放す
『バスケの街』である能代市で開催された秋田ノーザンハピネッツと栃木ブレックスの第2戦。前日の土曜日は接戦から惜しくも敗れた秋田ノーザンハピネッツだが、2戦目も序盤からリングに向かっていく強い気持ちが見え、好ゲームが期待された。
秋田は出足から安藤誓哉が積極的に6得点。リバウンドからの速攻も出て15-11となったところで栃木に先にタイムアウトを取らせる好調な滑り出し。しかし、第2クォーターに入ると栃木がトミー・ブレントン、ジェフ・ギブス、須田侑太郎、渡邉裕規らが前線から当たるディフェンスのプレッシャーで秋田の足を止めにくる。秋田はそのプレッシャーを速い展開でかわしながら、田口成浩、ケビン・バルマーが3ポイントを決めて食らいつく。
この接戦の場面で流れを変えたのが栃木の遠藤祐亮だ。第2クォーター終盤のオフィシャルタイムアウトの後、ジャンプシュートとフリースローを決めて31-26とリードを奪うきっかけを演出し、これに続いて熊谷尚也も3ポイントを沈める。さらには第2クォーター終了とともにライアン・ロシターのレイアップシュートが華麗に決まって41-35となり、栃木が僅差でリードを奪ったところで前半終了。
後半に入ると栃木は一層ディフェンスを強めていく。田臥勇太とライアン・ロシターを中心にリバウンドから組織的に崩していく栃木に対し、攻め手が作れずに個々で打開しようとする秋田の差がジワジワと出始める。第3クォーターで65-50と差がつき、終わってみれば87-73と栃木優勢の流れは変わらないままにゲームセットとなった。
戦う姿勢は出せたが、すべてが足りない秋田の今後は
栃木のトーマス・ウィスマンヘッドコーチは「秋田は今の勝率(2勝10敗)よりも能力はあるチームで、前半はその激しさに付き合ってしまって突き放すことができなかったが、後半にリバウンドから立て直した」と勝因を語った。対して秋田の長谷川誠ヘッドコーチは東地区首位との戦いに「非常にタフなゲームで、栃木のディフェンスとリバウンドを止めることができなかった。身体的、体力的、技術的、メンタル、すべてに問題があることを再確認」と敗戦の弁を述べた。
連敗が続く秋田の現状として、上位チームと選手層の違いがあることは明らかであるが、これを改善していくために長谷川ヘッドコーチは、「シーズンを通して成長していくチームにしたいので、今はとにかく失敗してもいいと言っている。悪いプレーを出さないと覚えないし、自分でやれるようにしたいから。相手が強くてうまくても立ち向かっていくしかない」と、経験させながら勝機をつかむ『忍耐の年』であることを明かしている。
またエースの田口は「連敗した仙台戦から気持ちを入れ替え、チームがもう一回ひとつになろうとやって、結果にはつながらなかったけれど、戦う姿勢は出せたと思う。この2連戦はその姿勢を出した上で課題が出た試合だったので、次につながる」と手応えを語る。司令塔の安藤も「一巡して他のチームの状況も分かったし、ポイントガードはアグレッシブじゃなかったらチームを勝たせられないので、もっともっとアグレッシブにやり続けます」と前は向いている。
連敗中でも選手たちが積極的にやる心構えがあるのなら、次はチームとしてどう戦っていくかの段階になる。強みであるアウトサイドの攻撃と課題であるインサイド陣をどう絡めていくか、そこは戦術的に練り込んでいかなくてはならない。
地元能代工業出身である田臥勇太の凱旋試合として注目された『バスケの街』能代での2連戦。秋田の長谷川ヘッドコーチや大場清悦GM、池端幹司アシスタントマネージャーも能代工高出身であり、バスケの街から巣立った者たちが集結した能代市総合体育館は両日ともに満員となった。
特に田臥勇太の輝きは色褪せることなく、その勇姿に元気づけられた能代市民や秋田県民は多かったことだろう。そして一方で現状として、田臥を筆頭に東地区の首位を走る栃木の強さと、地元の秋田が苦戦しながらチームを作る過程が明確に映し出された『バスケの街』での2日間だった。
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