写真=Getty Images

大型補強を敢行したニックスを相手に完勝

クリーブランドを本拠地に持つプロスポーツチームとして、1964年にNFLを制したブラウンズ以来となる全米タイトルを街にもたらしたキャバリアーズ。宿敵ウォリアーズを相手に1勝3敗からの大逆転優勝を果たしたキャブズの大黒柱レブロン・ジェームズは、2016 NBAファイナル第7戦の勝利が確定すると同時に感涙にむせんだ。

52年ぶりの優勝がクリーブランドに与えた歓喜はすさまじいものだった。キャブズの優勝パレードには130万人が詰めかけ、その偉業を称えた。

そして迎えた10月25日、ディフェンディング・チャンピオンとして、キャブズはNBA開幕戦のコートに立った。

優勝バナー掲揚式、優勝リング授与式の後、ジェームズはマイクを手に取り、クイックン・ローンズ・アリーナを満員に埋めたファンに向かい、次のようなメッセージを発した。

「今日はクリーブランド、オハイオ州北東のファンにとって特別な瞬間です。僕たちが優勝リングを授与された日だからであり、インディアンスがワールドシリーズ第1戦を戦う日だからです。つまり、今日という日はクリーブランドの歴史に刻まれます。この街に住んでいる人にとって一生残る記憶になるでしょう。その一部になることができて、僕は幸せです」

ジェームズはニックスとの開幕戦で19得点11リバウンド14アシストのトリプル・ダブルを達成し、チームも117-88で完勝。記念すべき日に全開のパフォーマンスで応えた。

ジェームズは、NBA入り後の20代半ばまで、クリーブランドがこの52年で経験した苦い経験について知らなかったという。1987年にブラウンズがアメリカン・フットボール・カンファレンス優勝決定戦で敗れたこと、1997年のワールドシリーズでインディアンスが第7戦で延長戦の末に敗れた歴史を知ったジェームズは、『USA Today』に「そのことを知ってから、困難なことだけれど自分の目標として考えるようになった」と語った。

優勝後、キャブズ指揮官のティロン・ルーも、ラスベガスでクリーブランドのファンの想いを知ることになったと『USA Today』に話した。ラスベガスのあるレストランに入ったルーに、ある親子が近づき、こう話しかけたのだという。

「クリーブランドにとってキャブズが優勝することの意味がどれほど大きいか、お分かりではないでしょう。私の父は他界しましたが、生前中は街の3つのスポーツチーム(キャブズ、ブラウンズ、インディアンス)を熱心に応援していました。父がこの瞬間を味わえなくて寂しく思います。あなたがたがクリーブランドのため、オハイオ州のために成し遂げたことに感謝の気持ちを伝えたかったんです」

ルーは言う。「この夏に経験した中でも最も素晴らしい瞬間だった」

ホームアリーナで執り行われた式典でファンがキャブズの優勝を称える中、ジェームズはスピーチ後、優勝リングをはめた右手の薬指を、他の誰よりも先に、掲揚されようとする優勝バナーにタッチさせ、クリーブランドにとっての偉業の大きさを噛み締めた。

19得点11リバウンド14アシストのトリプル・ダブルで開幕戦勝利に華を添えた