篠山竜青

取材=丸山素行 構成=鈴木健一郎 写真=野口岳彦

「たかが1試合にすぎないけど、前向きになれる」

昨日行われたB1開幕戦、川崎ブレイブサンダースは千葉ジェッツを相手に敵地で勝利を収め、幸先の良いスタートを切った。立ち上がりは重かったが、後半早々に逆転。そこから一気に相手をねじ伏せる快勝だった。さらに川崎にとってはエースのニック・ファジーカス抜きでの勝利ということも大きい。

キャプテンの篠山竜青は、「まずニックの足の調子が良くないということで、直前になってプレーができなくなりました」とファジーカス欠場の背景を明かす。「ただ、動揺せずにスタートの5人だけではなく、出場した選手全員が良いところを出せたと思っています。勝利できましたし、いろんな課題も見つかったので、収穫がたくさんあったゲームでした」

「トランジションも含めて千葉さんは速いですし、成熟されたチームなので、苦しむだろうというイメージはありました。それプラス、直前になってニックが出れないということで、どれだけ自分たちがやりたいことができるか、という部分は不安もありました」

「出だしでしっかり辻(直人)が勢いをつけてくれましたし、シェーン(エドワーズ)やバーノン(マクリン)も積極的にアタックしてくれたことで、ニックがいなくてもこれだけ点数を伸ばせるとか、自分たちもやれるぞ、という感触をチームとして得ることができました。もちろんこれはたかが1試合にすぎないですけど、試合の内容的には前向きになれる、良い感触を得られた開幕戦になりました」

篠山竜青

「しっかり成長して、最後は優勝で終われるように」

チームとして開幕に向けて準備してきたことの一つが、フリーランを増やして得点を伸ばすことだ。辻とファジーカスのピック&ロールからの攻めは強力だが、コールプレーが偏ることで相手にとっては守りやすくもなっていた。そのバランスを取るために「今シーズンはフリーランで5人で合わせながらディフェンスを見て判断するところ」を重視している。

篠山は代表活動が長く、チーム練習に参加した期間は短いが、それでも成果が早速出たことを喜んだ。「今日は良い意味で辻がシューターとして生かされた部分がありました。僕や藤井(祐眞)が起点となって、良いプレーもたくさんできたと思うので。結果的に5人の選手が2桁得点して、これは感触としては非常に良かったので、続けていければと思います」

その取り組みがあったからこそ、ファジーカスが不在でも動揺せずに戦えたのだと言える。マクリンとエドワーズの新外国籍コンビが結果を出して勢いに乗れたことも大きいし、チームリーダーである篠山自身が、この取り組みに確信を持てたことも大きい。

「もっともっとディフェンスを見て正しい判断をしていければ、それこそスカウティングがしづらいチームになっていくと思います。これからも伸ばしていきたいポイントです」

「今シーズンこそは、という思いがクラブ全体で強いですし、今日もアウェーですけど川崎からたくさんのファンが来てくれて大きい声援をもらって、非常に心強かったです」と、篠山はチームと一緒に戦ったファンへの感謝を語った。「川崎はファンの皆さんも含めて、これからどんどん成長できるクラブなので、しっかりとレギュラーシーズンで成長して、最後は優勝で終われるように、これからもっともっと成長していきたいと思います」