シュートタッチが悪くても、強固な守備は崩れず
3月2日、宇都宮ブレックスがリーグ再開初戦でサンロッカーズ渋谷と対戦した。日本代表でのワールドカップ予選参加による隔離期間の影響で佐々宜央アシスタントコーチ、竹内公輔が不在。さらに安齋竜三ヘッドコーチもベンチ入りせず町田洋介代行ヘッドコーチが指揮を執るいつもと大きく違う状況での戦いを余儀なくされたが、チーム全体で粘り強いディフェンスを続ける宇都宮らしい戦いで68-64と競り勝った。
試合の出だし、宇都宮はパスミスによるターンオーバーを連発。その結果、ティップオフから連続10失点と最悪のスタートとなってしまう。ここから比江島慎の連続5得点で悪い流れをなんとか切るが、第1クォーターだけで、7個のターンオーバーを喫するなど、ちぐはぐなオフェンスは続き、14-19とリードを許して第1クォーターを終える。
だが、宇都宮は第2クォーターだけで13得点と爆発したチェイス・フィーラーがオフェンスを牽引し、ディフェンスでもSR渋谷のオープンショットの機会を減らしたことで盛り返し前半を互角の展開で終える。
後半に入ると、SR渋谷の盛實海翔に第3クォーターのみで12得点を取られてしまうが、チームオフェンスでジョシュ・スコットによるインサイドアタックを作り出して対抗。さらに比江島が持ち味である多彩なステップからシュートを決めることで譲らない。
第4クォーターに入ると、互いにシュートが入らず終盤までロースコアの息詰まる攻防が続く。だが、この我慢比べで上回ったのは宇都宮だった。SR渋谷は2点を追う残り1分14秒、ベンドラメ礼生が3ポイントシュートを打つ際にファウルを獲得。しかし、ここで得たフリースローを3本中1本しか決められない。一方、宇都宮は直後、スコットがオフェンスリバウンドからのセカンドチャンスで押し込む。さらに3点リードの残り11秒、再びスコットがオフェンスリバウンドをもぎ取りポゼッションを継続させたことで勝負あアリとなった。第4クォーターで放った9本の3ポイントシュートをすべて失敗し、フィールドゴールは18本中5本の成功のみと、シュートタッチが最悪の中でも、集中力を切らさなかった宇都宮がチャンピオンシップ出場を争うライバル同士の直接対決で大きな勝利を挙げた。
スコット「パニックになったり、ナーバスになったりすることはなかった」
試合後、町田代行ヘッドコーチは堅守の勝利を強調する。「ディフェンスでとにかく自分たちのプライドを見せようと試合に臨みました。渋谷さんにどこまで食い下がれるかというところで、64点に抑えたのが勝因だと思います。そこをしっかりと遂行してくれた選手たちは素晴らしかったです」
そして19得点に加え、5つのオフェンスリバウンドを含む15リバウンドを記録したスコットは、「宇都宮に来た時から学んでいるブレックスメンタリティを出せました」と続ける。
「どんな状況になってもそれを言い訳にしないで、プレーできる選手たちは自分たちの全力を出し切るだけです。だからパニックになったり、ナーバスになったりすることはなかったです。チームとしてよくコミュニケーションを取ることができていました」
今シーズン、ここまで宇都宮は接戦を勝ち切れない試合が続いていた。しかし、約3週間のブレイク明けで、ヘッドコーチ不在の中で難敵相手に競り勝った。これからの過密日程に向け、大きな弾みとなる1勝をつかみ取った。
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