前十字靭帯の断裂は「ちょっとした勝利」
ジャズのジョー・イングルスは現地1月30日のティンバーウルブズ戦で負傷。MRI検査の結果は左膝前十字靭帯の断裂で、今シーズンは全休となった。
34歳という年齢を考えれば、引退の二文字がよぎってもおかしくはない。12月下旬に左膝前十字靭帯を断裂したキャバリアーズのリッキー・ルビオはリハビリと子供のことを考え、「息子が学校に通い始めたら、NBAの価値はなくなる。バスケットボールが優先されなくなる時が来るだろう」と語り、母国でプレーする考えがあることを明かした。31歳のルビオでさえそのような考えに至るのだから、イングルスが引退を考えることも当然だ。しかし、イングルスはケガを克服し、再びチームに貢献できるようになると確信している。
「このケガをしたら誰もが引退について言う。でも君たちはこのケガを乗り越えた選手たちを見ている。みんなは僕のことをおかしいと言うかもしれないが、MRI検査の結果は僕にとってちょっとした勝利だったんだ。だって前十字靭帯の断裂のみで、その他の構造的なダメージはなかったからね」
前十字靭帯断裂という重傷を『勝利』と言うのは違和感があるかもしれない。だが、これは強がりではなく、自身のプレースタイルが身体能力に依存しないことから、本気でそのように思っている。「僕のプレースタイルも引退しない理由の一つなんだ。僕のゲームは身体能力に依存しないし、リングの上でプレーすることもない。この手術やリハビリがどうなるかは断言しないけど、リーグの誰もが僕のプレーと能力を知っているはずだ」
自身がそう言うように、彼はスピードが速いわけでも特別なジャンプ力があるわけでもなく、高いバスケIQとスキル、正確なシュート力でこのNBAを生き抜いてきた。テクニックタイプのイングルスは身体能力を売りにした選手よりも、自身に与える影響は少ないと考えているのだ。
昨シーズンのイングルスは平均12.1得点、4.7アシスト、3ポイントシュート成功率45.1%を記録し、チームメートのジョーダン・クラークソンが受賞したシックスマン賞部門で2位の得票数を集めた。今シーズンは平均7.2得点、3ポイントシュート成功率34.7%と数字を落としていたが、ジャズの緻密なスタイルを支える名脇役としての存在感に変わりはなかった。
もちろん、これから厳しいリハビリが待っている。それでもイングルスは強い覚悟を持って、NBA復帰を目指す。「私は今もプレーすることが大好きだ。NBAでプレーしたいし、今は他の場所でプレーしようとは思っていない。今持っている目標とこれまでに持っていた目標は変わっていないし、その上に小さな山ができたのは明らか。自分がたどり着きたい場所に行くためにはその山を乗り越える必要があるけど、僕にはそれを超える自信があるんだ」