女子日本代表

文=丸山素行 写真=FIBA.com

最高のスタートを切った日本、その後は攻めあぐねる

ワールドカップを戦っているバスケットボール女子日本代表は、予選リーグを2勝1敗で終えるも、得失点差でグループ3位となり、グループD2位通過の中国とベスト8進出を懸けて対戦した。高さの不利を運動量と素早いカバーで補ったが、最後は高さに屈した。

日本の先発は本橋菜子、長岡萌映子、宮澤夕貴、馬瓜エブリン、髙田真希。序盤はこの日絶好調の本橋が内外から得点を重ね10得点を記録し、馬瓜もアグレッシブにプレーし8得点を挙げ、さらには中国のインサイドを徹底的に封じることで25-19とリードして第1クォーターを終えた。

しかし、第2クォーター以降は終始中国のペースで試合が進む。中国は200cmオーバーが2人、190cmオーバーが2人と、常に高さの利を有していた。日本は髙田と宮澤を中心に、周りから寄せるダブルチームで対応するが、中国は個の力でフィニッシュまで持っていき、さらにはインサイドアウトから確実に得点を重ねていった。

ワンポイントでゾーンディフェンスを敷いても3ポイントシュートを決められ、マンツーマンでの対応を余儀なくされた。またオフェンスでも、日本の素早い仕掛けに中国がスイッチディフェンスで対応すると、ボール回しが停滞。こうなると個で打開することになるが、一人を抜いても中国の高さの前にフィニッシュが決まらなかった。

女子日本代表

オコエの奮闘で見せ場は作るも、6点差で敗れる

第2クォーターに逆転を許し、そこから追いかける展開が続く。タイムシェアをしフレッシュな状態でプレーする中国に対し、日本は宮澤が40分、髙田もほぼフル出場とプレータイムが偏り、走れなくなった時間帯に一気に点差を広げられてしまう。

宮澤は高確率で3ポイントシュートを沈め12得点を挙げたが、ディフェンスリバウンドの負担が大きく、トランジションオフェンスのフィニッシャーになる機会は少なかった。また髙田も中国のインサイドを押さえるのに精一杯。藤岡麻菜美、町田瑠唯とパスでリズムを作るポイントガードにプレータイムが与えられない状況で、オフェンスでは孤立して得点が伸びなかった。

そんな苦戦を強いられた日本だが、終盤に見せ場は作っている。10点ビハインドの残り3分、試合を揺り動かしたのはオコエ桃仁花だ。パスカットからのワンマン速攻を決め、さらに連続でパスカットに成功し、アンスポーツマンライクファウルを誘う。ここでオコエは2本のフリースローを沈め、これで得たポゼッションで本橋がドライブから得点し、2点差と肉薄した。

だが反撃もここまで。オフェンスリバウンドから失点し、宮澤と髙田にオフェンスを託すが、体力は限界で足にきていた2人のシュートはショートした。ファウルゲームに持ち込もうとするも、なかなかファウルをさせてもらえず、最後は81-87で敗れた。これでワールドカップ敗退が決定。上位進出を目指していた日本は、ベスト8に進むことも叶わず大会を後にすることになった。

特にインサイドで主力を欠き、若手中心のチームだったことを考えれば、今大会の中国相手の6点差は健闘とも言える。しかし、昨年のアジアカップで若い日本に敗れた中国が、チームを作り直してまた日本を上回ったのはやはり脅威だ。高さもスキルもあるチームを上回るには、チーム全体の底上げがさらに必要だということを痛感させられる一戦となった。世界のトップと渡り合うには、まだまだレベルアップが必要だ。

女子バスケットボールワールドカップ 日本代表選手12名

0 長岡萌映子(SF / トヨタ自動車アンテロープス)
1 藤岡麻菜美(PG / JX-ENEOSサンフラワーズ)
7 水島沙紀(SG / トヨタ自動車アンテロープス)
8 髙田真希(PF / デンソーアイリス)
13 町田瑠唯(PG / 富士通レッドウェーブ)
15 本橋菜子(PG / 東京羽田ヴィッキーズ)
24 藤髙三佳(SG / トヨタ自動車アンテロープス)
30 馬瓜エブリン(SF / トヨタ自動車アンテロープス)
41 根本葉瑠乃(SG / 三菱電機コアラーズ)
52 宮澤夕貴(SF / JX-ENEOSサンフラワーズ)
88 赤穂ひまわり(SG / デンソーアイリス)
99 オコエ桃仁花(SF / デンソーアイリス)
[ヘッドコーチ]トム・ホーバス