髙田真希

「いろいろなプレーができるというところがワクワクに繋がります」

女子日本代表は2月10日に開幕するワールドカップ2022予選に向けて合宿を行っている。

東京オリンピックでキャプテンの大役を務め、銀メダル獲得に貢献した髙田真希は当然の招集となった。若手主体で臨んだアジアカップに参加していない髙田はトム・ホーバス前指揮官からバトンを受けた恩塚亨新ヘッドコーチの下でプレーするのは今回が初めてだが「やるべきことも少しずつ明確になってきましたし、身体に染み込ませている状況」と、合宿での手応えを語った。

キャプテンの任は林咲希に受け継がれたが、髙田は副キャプテンとして、これからもチームを盛り立てていく。「これまで経験してきたことをチームに還元していきたいという気持ちは変わりません。年上の選手がいる中で林選手がキャプテンを任され、多少なりとも不安な部分はあると思います。2人でコミュニケーションを取りながら、気を遣わないように、自分自身もチームを盛り上げられるようにサポートしていきたいです」

恩塚ヘッドコーチは『世界一のアジリティ』をキーワードに掲げ、新たなチーム作りを進めている。そして、その実現のために「ワクワクのポジティブなマインドセットを入れています」と語っていた。『ワクワク』とは期待して心が躍る意味を表す言葉だが、髙田は「日本としての強みが最大限に生かされる」と話し、『ワクワク』の意味をこのように説明した。

「原則がある中で、相手に対して臨機応変に対応しなければいけないことがたくさんあり、ほとんどフリーで動く感じです。だからこそ個々のスキルが重要になってきますが、自分たちの判断で何かに縛られずに思い切ってプレーができる。上手くいかなくても周りがカバーできるので、いろいろなプレーができるというところがワクワクに繋がります」

髙田真希

期待される渡嘉敷との共闘「相手に与える影響も大きく心強いです」

恩塚ヘッドコーチはアジアカップメンバーとオリンピックメンバーの融合もテーマに挙げている。そのため、アジアカップの参加を見送った髙田にとって、新たなチームメートとのケミストリー構築が合宿での一番のミッションとなるが、良くコミュニケーションが取れていて不安はないという。そして、「自分はどちらかと言えば合わせるプレーが好きで、若い選手は1対1で解決できるような能力を持っているので、みんなが積極的に1対1で攻めていけるのは強みであり頼もしく感じます」と、若手の台頭に期待している。

この『アジアカップメンバーとオリンピックメンバーの融合』は大事なテーマだが、今回招集されたメンバーにはこの2つの大会に参加していない選手もいる。そして、その中には右膝前十字靭帯断裂の大ケガを負い、東京オリンピックの欠場を余儀なくされた渡嘉敷来夢もいる。日本は高さの不利を3ポイントシュートとスピードで補い、銀メダル獲得の快挙を成し遂げたが、アメリカの圧倒的な高さを覆すことはできなかった。193cmの渡嘉敷が加われれば、その高さの不利は大幅に改善される可能性があり、髙田も渡嘉敷との共闘を楽しみにしている。

「オフェンスでもディフェンスでも高さの部分で起点になれるのが大きいです。特にディフェンスの部分で高さはカギになってくるので、上手く生かせれば、大きな力になると思います。リバウンドを取り切れなかった部分が取り切れるようになってくるとオフェンス回数も増えますし、相手に与える影響も大きく、心強いです」

当然ながらケミストリーの構築は簡単な作業ではない。ましてや、新たなスタイルを取り入れ、新メンバーが加入したとなれば、その作業の難易度はさらに増すだろう。それでも、東京オリンピックでチームの中心を務め、今回は副キャプテンを任された髙田がいれば、その作業もスムーズに進むはずだ。