ネッツ

ついにデュラント、ハーデン、アービングの『ビッグ3』が結成

現地1月13日、2020-21シーズン開幕前から噂されていた超大型トレードがついに決まった。

ネッツ、ロケッツ、キャバリアーズ、ペイサーズによる4チーム間トレードにより、ロケッツからネッツにジェームズ・ハーデンが移籍した。これによりネッツはケビン・デュラント、ハーデン、カイリー・アービングの『ビッグ3』を誕生させた。チーム再建に何年もかけたネッツがここまで思い切ったトレードを実行したのは、今シーズン優勝するために他ならない。

ハーデンを獲得するために1巡目指名権を3つ(2022、2024、2026年)、1巡目指名交換権を4つ(2021、2023、2025、2027年)も放出した内訳だけを見ると、2013年6月に成立したトレードを思い出すファンも少なくないだろう。

2012年に本拠地をニュージャージーからブルックリンに移転させたネッツは、当時セルティックスに2014、2016、2018年のドラフト1巡目指名権、2017年1巡目指名権交換権を譲渡し、ポール・ピアース、ケビン・ガーネット、ジェイソン・テリーを獲得した。無論、当時のトレードと大きく異なるのは、今のハーデンは31歳と選手として脂が乗りきっている時期なのに対して、当時のピアースは36歳、ガーネットは37歳と引退間近だったこと。ネッツは、手っ取り早く優勝経験のあるビッグネームを加えて一番を目指したが、同年のプレーオフではファーストラウンドでヒートに呆気なく1勝4敗で敗れた。

先述の通り、ドラフト指名権を大量に放出してしまっていたネッツは、ここから『冬の時代』を迎える。だが、2016年にGMに就任したショーン・マークスが時間をかけて建て直し、2019年のオフにフリーエージェントになったデュラントとアービングを同時に獲得するという大逆転の一手を放った。

今シーズンからやっとデュラントとアービングが揃って戦える状況になり、指揮官に殿堂入り選手のスティーブ・ナッシュ、その参謀に昨シーズンまでロケッツを率いた戦術家のマイク・ダントーニを据え、優勝に向けた体制を整えたはずだった。そのネッツが大量のドラフト指名権、キャリス・ルバート、ジャレット・アレンという今後が楽しみな選手を放出してまでハーデン獲得を決断したのは、アキレス腱の断裂から復帰したばかりのデュラントのパフォーマンスを見たからではないだろうか。

プレシーズンゲームからケガ前と変わらぬ動きを披露したデュラントは、今シーズン9試合を終えて平均29.4得点、7.2リバウンド、5.8アシストを記録している。アービングは『個人的な事情』により復帰時期は未定なままだが、1試合25得点以上はお手のもので、ハーデンは言うまでもなく現役最強クラスのスコアラーだ。

トレードが決まる前から3選手が噛み合うかどうかに関して議論されてきたものの、ネッツは大勝負に出た。彼らの目標は、あくまでも優勝。プレーオフに進出できる範囲であれば、レギュラーシーズンの順位にはあまり関心を示さないだろう。今後の戦績、ケガ人の状況次第では3月25日のトレードデッドラインまでに再び動くか、NBAで優勝の機会を欲しているベテランと格安で契約しテコ入れすることも十分あり得る。とにかく、今からプレーオフが始まる5月下旬までにチームを完成させればいいだけのことだ。

ディフェンスに関する話は実際に新チームとしてプレーしてみなければ分からないが、今のネッツの陣容ならば、オフェンスで他チームより頭一つないし2つ分は抜け出ているのだから、『攻撃は最大の防御』を地で行くチームになるかもしれない。

ハーデン、デュラント、アービングの年俸だけで合計1億ドル(約104億円)を超えるため、チームの年俸総額条件を考えれば、今のメンバーでやれるのは今シーズンに限られてしまう可能性が高い。それでもプレーオフで最後に勝ち名乗りを受けられればそれで良い。ネッツは、一か八かの賭けに出る覚悟を決めたのだ。