
勝てないチームで過ごしたキャリア後半からの脱却
キングスがデマー・デローザンをウェイブした。デローザンはブルズ時代に結んだ3年7300万ドル(約110億円)の契約最終年を残していたが、年俸2570万ドル(約39億円)のうち保証されていたのは1000万ドル(約15億円)のみ。キングスはこの金額を今後3シーズンに分割して計上することで、サラリーキャップに余裕を作ることができる。
デローザンを獲得した2年前の時点では上を目指していたキングスだが、昨シーズン途中に『チームの顔』だったディアロン・フォックスを放出。今シーズンは22勝と下位に沈み、フロントは再建へと舵を切る決断を下した。
今年2月には、デローザンの勝てないフラストレーションが爆発したシーンがあった。ペリカンズ戦で第3クォーター途中に大量ビハインドを背負ってのタイムアウト中、彼はペットボトルをコートに叩き付けて水をぶちまけている。その直前に緩慢なディフェンスからザイオン・ウイリアムソンにアリウープを決められたことで彼はキレてしまった。
この時のデローザンは、「ほとんどは自分たちのミスから起きている。正しいポジションを取らないことで連鎖反応を起こし、簡単に失点してしまう。水をぶちまけたのは正しいプレーをするべきだと伝えたかったからだ」と自らの行為を釈明している。しかし、この試合で13だった連敗は15まで続き、その後もチームは上向かなかった。トレードデッドラインでデアンドレ・ハンターを獲得したものの目のケガを抱えて補強になっておらず、チームは規律ない戦いぶりで負け続き。すでに36歳と若くないデローザンにとって、トップコンディションで戦える1年を意味なく浪費するのは耐え難かったに違いない。
デローザンとキングスの関係は、この1年ですっかり冷え込んでいたが、彼が出場した最後のホームゲームではトリビュート映像が流され、「厳しいシーズンになったけど、会場に来て熱心に応援してくれるファンの情熱は素晴らしいものだった」と、デローザンはファンに別れの挨拶を送っている。
かくしてフリーエージェントとなったデローザンは、現役生活の最後に優勝を勝ち取ることを求めており、ベテラン最低保証額での加入にも前向きとされる。ウォリアーズやヒート、ニックスが候補に挙がる中、注目されるのはラプターズへの復帰だ。
デローザンは2009年のNBAドラフト1巡目9位でラプターズに加わり、在籍9シーズンでチームを5度のプレーオフ進出に導いたかつてのエースだ。しかし、2018年オフに突如としてスパーズへと放出される。ラプターズへの愛情を人一倍持ち、カイル・ラウリーとのプレーを楽しんでいた彼は、キャリアの絶頂期を迎えるタイミングで放出されたショックに打ちひしがれた。ファンも同様に彼の放出にショックを受けたが、代わりに獲得したのはカワイ・レナードで、カワイがそのシーズンにNBA優勝をもたらすのだから、ファンも彼を歓迎した。
しかし、デローザンは鬱屈を抱えたまま、スパーズ、ブルズ、キングスと勝てないチームでキャリア後半を過ごすことになる。彼自身は常に高い得点力、特にクラッチタイムの勝負強さを見せたが、ラプターズ退団後の8シーズンでのプレーオフ出場は2回のみ。結果的に自身を放逐したカワイとコンビを組み、ラプターズに優勝をもたらすことは、彼にとってこれ以上ないほど刺激的な挑戦になるはずだ。