渡邊雄太

グリズリーズの2ウェイ契約選手としてNBAを1シーズン経験した渡邊雄太が日本代表に戻って来た。合宿初日の練習で足首を痛め、別メニューでの調整が続いたものの、8月14日のニュージーランド戦では先発出場。フットワークを生かしたディフェンス力と高さは見せたが、まだ本領発揮には至っていない。それでも、得点源となる八村塁とニック・ファジーカスと同等かそれ以上に、日本の走るスタイルを損なうことなくスピードと高さを保証できる渡邊の存在は心強い。その彼に、日本代表の一員としてワールドカップを戦う意気込みを聞いた。

「絶対にいつも挑戦者の気持ちでいないといけない」

──久しぶりに日本代表に戻って来て、チームの雰囲気はどうですか?

僕自身も久しぶりにみんなと会い、いつも通りすごく雰囲気が良くてオープンだと感じました。全員が自然に溶け込みあっているので、良い環境を作ってもらっているなと感じています。

──痛めた足首の状態はどのですか?

100がマックスだとしたら、70か80までは回復しました。大丈夫です。

──ニュージーランドとの第2戦では、渡邊選手が下がった後に相手の速攻を許すシーンが目立ちました。ベンチで見ていて、どのような課題を感じましたか?

難しいですけど、まず相手のトランジションはこちらのバッドショットから始まるということ。こちらのライブターンオーバーから相手に走られることもありました。だからディフェンスだけではなくオフェンスの問題でもあります。あとは単純に相手に走り負けないこと。走るのが日本の武器であることは間違いないので、走り負けたら世界を相手に戦いになりません。

ニュージーランドはやっぱり強かったし、そういう相手に今日みたいなゲームをやって、相手に気持ち良くシュートを打たせていたら、当然ワールドカップでは1勝もできずに終わってしまいます。ウチは初戦に勝ってリラックスしていて、逆に相手は絶対に勝たないといけないという、気持ちの差も正直かなり出ていたと思います。ランキングも日本のほうが低いし、歴史を見てもニュージーランドは世界選手権などで結果を残しているチームです。僕たちは絶対にいつも挑戦者の気持ちでいないといけない。今日みたいな入り方でプレーしたらダメだと感じました。

渡邊雄太

「個人で戦うのではなくチームの力で強豪に立ち向かう」

──国際強化試合では結果よりも内容が大事だし、日々の練習で何をどう積み重ねていくかが大事だと思います。何を意識して取り組んでいきますか?

時間がないので、毎日の練習が大切です。そういう状況で自分がリーダーシップを発揮して、先頭に立って声を出していければと思っています。今のチームには世界を相手にしても戦えるメンバーが揃ったと思っています。その中でも日本はチーム力で、つまり集団の力が絶対にあると思うので、個人で戦うのではなくチームの力で強豪国に立ち向かっていきたいです。

──八村選手、ファジーカス選手との『ビッグ3』が機能するのはこれからですよね。

僕たち3人がコート上でお互いを立てながらプレーできれば絶対に強いという自信があります。まだそういうものは出せていないので、今後の練習を通じて出していければと思います。

──世界と戦う上で、日本のカギとなるのはプレー面で言うとどの部分でしょうか?

チームで戦うこと、走ることと言いましたが、ヨーロッパ勢のフィジカルに負けないこともポイントになります。でも、僕や塁は普段から経験していますし、(馬場)雄大やマコちゃん(比江島慎)もサマーリーグで経験できました。フィジカルでのぶつかり合いを嫌がらず、むしろこちからアクションを起こしていくことが大事だと思います。

渡邊雄太

「スローガンの通り『日本一丸』となって戦う」

──オールラウンドな仕事ができる選手として、日本代表ではどんな貢献をしたいですか?

僕が日本代表の中心選手としてやっていかなければいけないと思っています。得点、リバウンド、ディフェンスで他の選手を引っ張っていくつもりですし、どんどんリーダーシップを発揮するつもりです。自分が活躍しないと強豪国には勝てない、それぐらいに考えているので、すべての面で活躍したいと思います。

──ワールドカップの目標をどこに置きますか?

個人的には、予選ラウンド突破は最低限果たさなければならないと思っています。今の日本代表のレベルならやれると思うし、やらなければいけないと思っています。対戦国を見た場合に僕たちが格下なのは間違いありませんが、それでも負けるつもりは一切ないです。

NBAでプレーする塁や僕がいるから勝てるような簡単な話ではなく、日本代表に選ばれた全選手の力が必要です。もともと日本代表を引っ張ってくれたのはしんどい状況を戦い抜いてくれた僕ら以外の選手です。僕たちが掲げるスローガンの通り『日本一丸』となって戦っていければと思っています。