勝部璃子

相手のエースを抑え込み、勝負どころで得点を重ねる

インターハイの女子決勝では桜花学園(愛知県)と日本航空北海道(北海道)が対戦。前半で46-30と優位に立った桜花学園が後半にペースを落とすも崩れることなく63-59で勝利し、4年ぶり26回目のインターハイ優勝を決めた。

桜花学園は竹内みやがオフェンスを引っ張り、ゴール下のディフェンスとリバウンドではイシボ・ディバインが奮闘。そして2年生エースの勝部璃子がフィールドゴール16本中8本成功と効率良く19得点を挙げた。勝部の活躍はオフェンスだけではない。日本航空北海道のエース庵原有紗をマークし、28得点を奪われはしたものの勝負どころで抑え込んだ。

180cmの庵原が思い切り良く放つミドルジャンパーは日本航空北海道をファイナルまで引っ張った強力な武器。この試合でもティップオフから庵原は次々とミドルジャンパーを決め、好調ぶりを見せ付けた。

「あのジャンプシュートは警戒していたんですけど、やっぱり上手でした。高い打点で打たれて、最初は思うようにやらせてしまいましたが、慣れてきてプレッシャーを掛けられるようになったら落ちるようになったので、試合中に上手くアジャストできました」

「最初に何本か決められて『やられてしまった』という気分になっていたのですが、チームメートが『大丈夫、止められるよ』と前向きな声を掛けてくれて、気持ちを切り替えることができました。と勝部は言う。ミドルジャンパーは決して確率の高いシュートではない。勝部の粘り強いマークが、思い切り良く放っていた庵原のリズムを狂わせた。

勝部璃子

「大事な場面でその声が出せたのは成長だと思います」

それでも後半、日本航空北海道は庵原と留学生のファトゥマタ・カマラ以外の外からの攻めを増やして試合は膠着状態に入る。得点がなかなか生まれない我慢の展開、今度は勝部がオフェンスで力を見せる場面だった。

「竹内に『私がやるから、ボールちょうだい』と声を掛けました。今までそうやってボールを求めるようなことは言ったことがないんですけど、大事な場面でその声が出せたのは成長だと思います」

苦しい時間帯でこそ選手の真価は問われる。相手のエースを抑えることに集中した前半を経て、後半の勝負どころで勝部は思い切ってリムへと向かい、シュートをねじ込んでいった。その力強いパフォーマンスを、白慶花コーチは「本当に大きかったです。エースの仕事をしっかり果たしてくれました」と称えた。

勝部も竹内も2年生ながらチームを引っ張る精神力の強さを発揮した。勝部はこう語った。「去年のウインターカップで1点差で負けて(準決勝の精華女子戦、65-66)、コートに出させてもらったから本当に悔しくて、今まででバスケをやってきてあの試合が一番泣きました」と勝部は話す。「あの時に『絶対もうこんな負け方はしない』と誓って、新チームになって自分のバスケの取り組みを変えて、もっと自分を出すようになりました」