トレイ・ヤングの弱点を隠し、強みを強調するチームに
フリーエージェント解禁初日は多数の契約が決まり、それによって各チームの方針が少しずつ見えてきました。その中で注目選手の一人だったニキール・アレクサンダー・ウォーカーはホークスと4年6200万ドル(約93億円)の契約にサインし、トレイ・ヤングとともにプレーすることになりました。これでホークスは昨シーズンのダイソン・ダニエルズに続き、バックコートに強力なディフェンダーを獲得した形となります。
ホークスにとってディフェンスは積年の課題であり、ヤング中心のチームである限り永久に続くであろう課題でもあります。フィジカルもサイズもないヤングは明確な弱点として狙われるため、得点力で対抗するにも限界があります。ただし、ヤングはプレーを読む能力とハンドチェックの上手さで1.2スティールを記録しており、チームディフェンスに参加することは可能です。
昨シーズンはダニエルズがリーグトップのスティールとディフレクションを記録するなど、エースキラーの役割を担ったことで、ホークスのスティール数はリーグ2位へと躍進し、『ボールを奪う』ディフェンスが少しずつ形になってきました。そこに粘り強くフィジカルなディフェンスを特徴とするウォーカーが加わり、リムプロテクターとしてはトレードでクリスタプス・ポルジンギスも獲得して、ヤングという弱点はあってもホークス独自のディフェンスシステムが構築されそうです。
ウォーカーはルーキー時代からディフェンスの評価は高かったものの、シュート能力が課題でしたが、ここ3シーズン続けて3ポイントシュート成功率が38%を超えており、ターンオーバーも少ないのが特徴のポイントガードで、ヤングがベンチに下がる時間帯もダニエルズとのコンビでディフェンスを中心とした安定感のある戦いができそうです。
シューターのルーク・ケナードとも契約し、ウォーカーとポルジンギスも含めて3ポイントシュートの成功率が高い選手ばかりを獲得しました。トレードで放出したテレンス・マンはシュートに積極的ではなく、再契約しなかったキャリス・ルバートは成功率が低い課題があったため、オフェンス面での狙いも明確です。
このオフのホークスの積極的な動きは、トレードデッドラインで主力を放出しラグジュアリータックスを避けたシーズン中の決定から始まっています。キャップスペースに空きを作ったことで自分たちが求める新戦力の獲得に成功し、まずは良い一歩を踏み出す初日となりました。