
2年前の優勝に貢献したブルース・ブラウンが復帰
ニコラ・ヨキッチ、ジャマール・マレー、マイケル・ポーターJr.のようにドラフトで指名した選手をじっくり育ててチームの核に据えることで、ナゲッツは2022-23シーズンにNBA優勝を成し遂げた。しかし、彼らが揃って成長するにつれ、サラリーキャップを圧迫するようになる。ナゲッツは生え抜きの選手を大事にしてきたポリシーを今回ばかりは曲げ、ポーターJr.放出という決断を下した。
2018年のNBAドラフト1巡目14位で指名された時点で、ポーターJr.は腰に大きなケガを抱えており、デビューは1年遅れ、2021-22シーズンは9試合に出場しただけで3度目の手術をすることになったが、これで厄介な腰のケガを乗り越えた。ポーターJr.の魅力はクイックリリースで放つ3ポイントシュートであり、ボールタッチが少なくてもリズムに乗れるためマレーとヨキッチと共存でき、好不調の波は激しいもののハマった時の爆発力でNBA優勝に貢献した。
しかし、腰のケガが完治した後も万全のコンディションはなかなか取り戻せず、昨シーズンのプレーオフでも左肩が上がらない状態でプレーし続けた。どれだけプレーできるか計算しづらいことで、5年1億8000万ドル(約270億円)の契約がナゲッツに重く圧し掛かることに。契約3年目を終えた今、残る2年7800万ドル(約120億円)の負担から逃れる意味でナゲッツは生え抜きのポーターJr.を放出し、その結果としてラグジュアリータックスから解放されている。
ポーターJr.と2032年の1巡目指名権と引き換えにナゲッツが獲得するのは、29歳のキャメロン・ジョンソン。契約は残り2年で4400万ドル(約66億円)で、サラリーは大幅に削減される。ここ2シーズン半は再建中のネッツで目立っていないジョンソンだが、ルーキーイヤーから4シーズンを過ごしたサンズでは、ドアマットから強豪へとチームが変わる過程で素晴らしい活躍を見せていた。
昨シーズンは18.8得点、4.3リバウンド、3.4アシスト、3ポイントシュート成功率39.0%とポーターJr.と比べても引けを取らない。連携を確立するまでには苦労もあるだろうが、ヨキッチのプレーメークがあればどの選手も力が引き出されるはず。日替わりでラインナップが変わっていたネッツから環境が劇的に良くなるはずで、ポーターJr.ほどの爆発力は望めないにせよバスケIQが高くオールラウンドに活躍できるジョンソンは、キャリア7年目で『化ける』ことが期待される。
また、ナゲッツはフリーエージェント市場でブルース・ブラウンと契約を結んだ。2023年のNBA優勝にシックスマンとして貴重な貢献をしたブラウンだが、ナゲッツは新たな契約を提示できず。その後の2年間、ブラウンはペイサーズ、ラプターズ、ペリカンズを渡り歩くも、ケガもあってほとんど活躍できず。2023年にペイサーズと結んだ2年4500万ドル(約68億円)から一転、1年300万ドル(約4億5000万円)のベテラン最低保証額となったが、地元ファンからの絶対的な支持を得られるナゲッツで再起を期す。