「いろいろなポジションをやってきたことを武器に」
6月8日、バスケットボール女子日本代表はチャイニーズ・タイペイ代表との強化試合ゲーム2で89-45と快勝。格下を相手に攻守で力の差を見せ付け、前日に続き大勝を収めた。
女子日本代表はプレータイムをシェアし、ベンチ登録した16名が満遍なく出場した。その中でも今野紀花は、チーム最長となる17分11秒出場で、7得点3リバウンド3アシスト2スティールと攻守で結果を残した。
25歳の今野はNCAAの強豪ルイビル大を経て、昨シーズンからデンソーアイリスに加入。チーム2年目の今シーズンは出番を増やしローテーション入りを果たしたが、それでもファイナルでは5試合で平均8分出場、1.8得点、0.8リバウンドに留まり、主力の地位を確立できたとは言い難い。だが、コーリー・ゲインズ体制の日本代表においては、179cmのサイズと非凡なボールハンドリング能力を備えたオールラウンダーとして存在感を高めている。
この2試合、今野はボール運びの役割を担い、テンポの良いパスさばきでオフェンスのリズムを生み出すなど司令塔の役割もそつなくこなした。2試合続けてのスタメン起用は、指揮官の信頼を得ていることを示す。今野は次のように収穫と課題を語る。
「合宿の前から打てるシュートは絶対に打つと決めていて、この2試合は打ち切ることはできました。一方でこの先、打ち切るだけではダメで、もっと良いシュートを選択したり、コート全体を見てもっと良い判断をすることが求められます。2試合を振り返ってもっと進化できるように練習を頑張っていきたいです」
ゲインズが指向するのは、ポジションレスのバスケで、「各選手が複数のポジションをこなせることでいろいろなラインアップが可能となり、相手を混乱させることができます」とその意図を語る。
そして、このスタイルは今野の持ち味との相性が抜群だ。尖った武器がないことは器用貧乏とも取られるが、今の日本代表においては重宝される個性となっている。
「自分は3番、4番をやってボールプッシュなどいろいろなことをしてきました。ただ、ある角度から見ると特徴がない、一番の強みがないととらえられていました。でも、代表のポジションレスのバスケットでは良い武器として貢献できます。今までいろいろなポジションをやってきたことを武器にして、質を上げていくことが目標です」
「何かをつかむまで残り続けたいです」
今野はU19ワールドカップ出場など世代別代表での実績は申し分ないが、フル代表では今回がデビュー戦とキャリアは浅い。だが、来月に行われる女子アジアカップ2025のメンバー入りには「最初から思いは強いです。それはステップを踏んでいく上でさらに強くなっています」と意欲を見せる。
この気持ちがどんどん増しているのは代表への愛着とともに、ゲインズのバスケットボールが自分をさらなる高みへと導いてくれるという期待感もある。「代表に入りたい気持ちとともに、このバスケで自分の新しいスタイル、可能性を見いだせるんじゃないか。この思いや好奇心は、代表でプレーしたいのと同じかそれ以上かもしれないです。だからこそ、このチームのバスケをやり続けたい。何かをつかむまで残り続けたいです」
実際、今回の代表活動ですでに多くを吸収できている。本職のポイントガードであるベテラン勢からは「安間志織さんの速さ、チェンジ・オブ・ペースは本当にすごいです。町田瑠唯さんからパスや視野のことを聞かせてもらっています。言葉だけがコミュニケーションではなく、雰囲気やそれぞれのやり方を感じながら合宿に参加させてもらえることはありがたいです」と多くの刺激を受けている。
今後の日本代表は、6月16日から19日にかけ中国遠征を実施し、アウェーで中国代表と強化試合を行う。ゲインズヘッドコーチは、この遠征のテーマを「今回と違うメンバー編成で、若手中心のチームでいきます。この遠征で、完全なアウェーの厳しい環境を乗り越えるカルチャーを作っていきたい。コーチ、選手ともいろいろなことを学ぶことでの成長を楽しみにしています」と語る。
メンバーは未定だが、今野は中国遠征に参加できた場合について「ワクワクしています。今回よりも何枚も上手な相手だからこそ楽しみです」と語る。代表の新たなスタイルの象徴として、今野の大きな可能性は代表の大きな伸び代となっている。
本日も絶好調✨️
#2 今野がステップバックスリーを沈める!📺CSフジテレビNEXTにて生放送
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