大一番で堅守速攻が機能、125-93で快勝を収める
サンダーとナゲッツによるシリーズは3勝3敗で『GAME7』へともつれた。この大一番で強さを発揮したのはホームのサンダーで、ナゲッツはクォーターが進むにつれて失速。125-93で勝利したサンダーが、ティンバーウルブズの待つカンファレンスファイナル進出を決めた。
ナゲッツはハムストリングスを痛めたアーロン・ゴードンが強行出場。クリスチャン・ブラウンのフローターに豪快なダンク、そのブラウンのアシストからニコラ・ヨキッチのゴール下と、パワフルなプレーでいきなり2桁のリードを奪ったが、その後は失速した。
流れを断ち切ったのはアレックス・カルーソだ。チェット・ホルムグレンとアイザイア・ハーテンシュタインのセンター2枚でヨキッチをゴール下へと侵入させず、カルーソは懐に飛び込んでボールを狙い続ける。最初の5分半で得点とアシスト、フリースローでナゲッツに勢いをもたらしていたヨキッチに対し、無理にボールを奪うよりも執拗に仕掛けてフラストレーションを溜めさせ、カルーソ投入後の6分半はヨキッチに得点もアシストも許さず、最大11点あったビハインドを5点まで縮めて第1クォーターを終えた。
12分間フル出場だったヨキッチがここでベンチに下がると、たった1分半でサンダーが逆転する。ヨキッチ不在の時間帯にペイントを守るゴードンは、足を引きずりながらでプレーの強度が出せない。ここからしばらく試合は両チームとも3ポイントシュートに当たりが来ずにロースコアのまま推移したが、第2クォーター終盤にサンダーが突き放す。
カギとなったのは執拗なディフェンスからナゲッツのミスを誘い、そこから走ったこと。そして、このシリーズで得点面で不調だったジェイレン・ウィリアムズに当たりが来たことだ。ウィリアムズは3ポイントシュートにリバウンドを奪ってそのまま速攻を仕掛けてのダンク、ヨキッチからスティールしてワンマン速攻、カルーソのスティールから再び速攻でのダンクと鮮やかな得点を次々と挙げ、一気に点差を広げた。
ナゲッツのオフェンスは分断され、この時間帯からイライラしたヨキッチが個人で打開を図る。これはナゲッツにとって明らかに良くない傾向だが、ジャマール・マレーとのピック&ロールを上手く守られ、3番手のゴードンも動けないとなると、ヨキッチの個人技頼みにならざるを得なかった。そしてそれがターンオーバーになり、サンダーの速攻を許す展開となった。
前半を終えて60-46。サンダーの勢いは第3クォーターも衰えずに97-72までリードを広げる。第4クォーター開始から2分半、32点差の状況でナゲッツはヨキッチを始め主力を全員ベンチに戻し、高いレベルでの攻防が続いたシリーズはあっさりと終焉を迎えた。
「プレーするのが楽しみでなかなか寝付けなかったよ」
第3クォーター終了までのナゲッツのターンオーバーは17で、アシストの16より多かった。3ポイントシュート33本中7本(21.2%)という数字も含め、サンダーのディフェンスが完全に抑え込んだ形だ。
オフェンス面ではシェイ・ギルジャス・アレクサンダーが35得点4アシストを記録。ジェイレン・ウィリアムズが24得点7アシストと、2番手として素晴らしい活躍を見せたのも大きかった。シェイは「この試合にどれだけ大きなものが懸かっているかと考えて緊張していた」と明かしたが、ジェイレンは「あまり眠れなかったけど、それはこの試合が楽しみだったからだ」と話す。「楽しみすぎて寝付けなかったよ。『GAME7』を何回経験できるか分からないけど、素晴らしい機会だから興奮していた」
その『相棒』の活躍をシェイは笑顔で称えた。「今日のダブ(ウィリアムズ)は見事だった。第2クォーターにリードを広げるきっかけを作ってくれた。でも、彼をずっと見てきて印象深いのは精神面の成長だ。昨シーズンなら今日みたいなプレーはできなかったと思う。その一歩を踏み出したことを誇らしく思うよ」
そのウィリアムズは、オフェンスでの自分の活躍はチームディフェンスあってこそだと強調する。「シュートは時には決まり、時には外れるものだけど、ディフェンスからトランジションに持ち込めばレイアップのチャンスが生まれる。それがペイントエリアでの得点の多くを占めているし、ハーフコートオフェンスにも良い流れを生み出す。それが僕たちの自信の源なんだ」
チームで良いディフェンスをして、オフェンスに転じれば運動能力を生かす。サンダーはまさにこの点でナゲッツを上回った。「僕らのディフェンスはボールを奪うことを前提としない」とウィリアムズは言う。「どれだけ相手に仕掛けられるか、どれだけ正確に、多くローテーションできるか。そこに集中しながら、できる限り攻撃的に守り、互いにカバーする。そうしてターンオーバーを引き出せれば最高だけど、僕らはただすべてのシュートに競り、すべてのリバウンドを狙うようにしている。それが僕らの強さだと思う」