「昨シーズンの僕たちは決勝ですべて負けた敗者」

琉球ゴールデンキングスは、チャンピオンシップのクォーターファイナルで島根スサノオマジック相手に第1戦を79-71、第2戦を88-70で制してセミファイナル進出を決めた。

チームの顔である岸本隆一がレギュラーシーズン終盤に左第5中足骨骨折で離脱。その戦力ダウンをチーム力で補い、2試合とも持ち前のフィジカルで島根を粉砕した。

琉球のエースを担うヴィック・ローは、第1戦ではフィールドゴール15本中5本成功の15得点とシュートタッチに苦しんだが、8リバウンド5アシスト2スティールとオールラウンダーとして勝利に貢献。そして第2戦では相手の対策にアジャストし、フィールドゴール15本中9本成功の26得点、さらに9リバウンド4アシスト2スティールと圧巻のプレーを見せた。

岸本不在で得点源としての責任は増すが、「プレッシャーは全くなく、26得点でも10得点でも気にしません。大事なのは勝つこと。一人が試合を支配するのではなく、チームとして良いプレーをしないといけないです」と、個人のスタッツに興味はないと語る。

昨シーズンの琉球は3年連続のファイナル進出を果たすも、広島ドラゴンフライズに敗れて連覇を逃した。ローはチーム、個人の両方で不完全燃焼に終わった1年前の悔しさを晴らすべくチャンピオンシップに臨んでいる。

「昨シーズンの僕たちは、天皇杯と合わせて決勝ですべて負けた敗者でした。そこからカムバックしたい思いがモチベーションになっています。個人のパフォーマンスとしても昨シーズンは失望すべきもので、自分本来の力を発揮できず、期待に応えられませんでした。自分がどんなプレーをすべきかは分かっています。今日は僕にとってグッドゲームの一つでした。すべての試合で自分のベストを出すことが目標です」

「チームが僕を選んだことを正しいと証明したい」

ローはBリーグ1年目となる2022-23シーズン、千葉ジェッツを天皇杯優勝、ファイナル進出へと導く大活躍を見せた。この功績によって昨シーズン、琉球に加入した際にも同様に中心選手としての働きが期待されたが、前年にリーグ優勝したメンバーの大半が残留した琉球において、チームにフィットし、新たな役割に馴染むことは簡単ではなかった。

持ち前の闘志が空回りしてしまうことも少なくない1年を糧として、今シーズンのローはチームに溶け込み、キャプテンとして冷静にチームをまとめるなどリーダーとして大きな成長を見せている。「僕がグッドな選手であることが忘れられているように感じています」と語るローは、リベンジに燃えている。

「すべての試合、すべての瞬間で僕はベストプレーヤーで、キングスはベストチームであることを証明したい。スポーツなので時には負けることもありますが、常にベストでありたいと思っています」

「Bリーグには優れた選手がたくさんいるし、優れたチームも多いです。セミファイナルで対戦する三遠は素晴らしいチームですが、自分がベストでありたい思いは傲慢ではなく、持つべきマインドセットです。キングスの他の選手たちも同じ気持ちを持ってほしい。それによってバスケットボールはより楽しくなります」

また、ローは心から信頼しているキングスファンに対し、さらに激しさを増すシーズンのクライマックスを一緒に戦ってほしいと呼びかける。

「相手にとって長く感じる40分間で、これまでで最もタフな試合だと感じさせる。そういうマインドセットを僕たちは持つべきだし、ファンの皆さんにも同じ思いでいてほしい。僕たちは決してあきめない。ルーズボールに身体を投げ出し、リバウンドを取り、ディフェンスをやり続ける。相手に得点を許してもいいなんていう気持ちは微塵もありません。チーム全員、ウィタカ・ケンタにも植松義也にも自分がベストなんだ、という気持ちを持もって戦ってほしい」

そしてローは、「昨シーズンのことはもう忘れよう。ただチームが僕を選んだことを正しいと証明したい」と語る。そのためにもローは、自分の持っている力を出し尽くして勝利を追い求め、チームメートにもファンにも同じ覚悟で戦ってほしいと願う。