キャバリアーズ

長いシーズンで試してきた成果をプレーオフで披露

キャバリアーズとのカンファレンスセミファイナルを戦うペイサーズは、タイリース・ハリバートンの劇的なステップバック3ポイントシュートで、最大20点差をひっくり返す勝利を挙げ、これでロードゲームで2連勝となりました。

キャブズはホームで連敗と脆さを見せた形となりましたが、試合内容はシーズン64勝を挙げた充実ぶりを示すものでした。

最優秀ディフェンス賞のエバン・モーブリー、オールスターガードのダリアス・ガーランド、そしてプレーオフでベンチから12.6得点を奪っているデアンドレ・ハンターと3人のローテーションプレイヤーをケガで欠いた状態で始まった第2戦は、第1クォーターでジャレット・アレンがファウルトラブルとなり、キャブズはいきなり厳しい状況に追い込まれました。

ここでキャブスはフィジカルが持ち味のジャボンテ・グリーンを起用し、3ガードと2ウイングのスモールラインナップへと移行します。シーズン中に使ったことのないユニット構成ですが、アジリティに優れた選手を並べたことで、ペイサーズのスピードに対抗したディフェンスでリードを得ました。

さらに4分間だけ起用されたクレイグ・ポーターJr.は持ち味のハッスルディフェンスで動き回り、1スティール1ブロックを記録。普段はローテーションに入っていないグリーンやポーターが短時間でも自分たちの武器を明確に発揮し、急なラインナップ構成でもチームとしての機能性を失うことなく活躍しました。長いシーズンで様々なことを試しながらハードワークを徹底してきた成果がプレーオフの緊迫した状況で生かされています。

ディフェンダーのアイザック・オコロは積極的に1on1の勝負を挑み、終盤にはボール運びまで担当し、シューターのマックス・ストゥルースはドライブからのハンマーダンクでチームに勢いを与え、同じくシューターのサム・メリルはマイルズ・ターナーとのマッチアップにフィジカルなディフェンスで対抗しました。それぞれが普段は担わないはずの役割でも臆することなくチャレンジしています。

第1戦でハリバートンのジャンプシュートにやられたアレンは、スイッチするとハーフラインまでプレッシャーをかけにいき、リバウンドに食らい付くディーン・ウェイドはレギュラーシーズンには1回しか記録していない2桁リバウンドを奪いました。各選手がこの試合でやらなければいけない役割を強く認識し、確実に実行していたのです。

そしてエースのドノバン・ミッチェルはリーダーとして次々とアタックを仕掛け、コンタクトされてもシュートをねじ込み続け、48得点を奪いました。チームで2番目の得点源であるガーランドと、3番目の得点源であるモーブリーを欠いた中で、エースは『いつものように』ステップアップしてチームを強烈に牽引しました。

普段は出番のない選手からエースまで、全員が高い集中力とハードワークを見せたキャブスの戦いは見事で、このチームが64勝を挙げた理由が詰まっていました。しかし、どんなに頑張っても負けは負け。インディアナでのロードゲームで勝たない限り、キャブスの美しいシーズンは終わることになります。

ケガ人が戻ってきて万全の状態で借りを返せるのか。あるいは残された選手たちが第2戦以上のステップアップで勝利をつかみ取るのか。追い込まれたキャブスがさらなる強さを見せることに期待したいところです。