「一番大事なところでチームを救ってくれる」
ウインターカップ4日目、京都精華学園は一つの山場である安城学園との試合を112-81で制し、メインコート行きを決めた。
ともに188cmの長身を誇るイゾジェ・ウチェとディマロ・ジェシカの留学生プレーヤーの存在は京都精華にとって大きなアドバンテージとなっているが、2人だけでは全国の舞台を勝ち抜くことは難しい。ベスト4までたどり着けたのは、留学生プレーヤーに頼らないチームの総合力の高さゆえである。
1年生ながら先発を任され、堂々とプレーする八木悠香と堀内桜花のコンビは京都精華の大きな武器だ。パワーフォワードを務める177cmの八木は、留学生プレーヤーに警戒が集まる中で巧みなポストプレーから得点を量産する。この試合では22得点17リバウンド(7オフェンスリバウンド)4アシストと素晴らしい数字を残した。
八木は「留学生にディフェンスが寄るから自分がハイポストでプレーしています。自分が空くのを試合を積んで学びました」と、得点量産の秘訣を語った。また、留学生プレーヤーを超えるリバウンド数に関しては「チームでディフェンス、ルーズボール、リバウンドを徹底しようとしているので、私は特にリバウンドに入ろうと思ってやっています」と、チームルールの延長による産物だと説明した。
指揮を執る山本綱義コーチはそんな八木のことを『影のヒーロー』という言葉で称え、大きな信頼を寄せている。「見えないところでの活躍がたくさんあるんです。目立ったプレーはしないんですけど、一番大事なところでチームを救ってくれるプレーが多いので彼女の存在は欠かせません」
「監督としては楽をさせてもらっています(笑)」
堀内は1年生ながらも高いバスケIQを持つ、安定感のあるポイントガードだ。ボールをプッシュし、後ろから走り込んでくるイゾジェにノールックでバックビハインドパスを供給するなど、バスケセンスの高さがうかがえるプレーも見せた。だが、そんな『魅せるプレー』も堀内にとっては確実性を考えてのアクションだという。「留学生が走ってくれるから、そういうのを感じて、ディフェンスを寄せてノーマークを簡単に作るように考えてやっています。ノールックのパスだったらディフェンスも分からんし、周りも動いてくれるから信頼してパスができます」
山本コーチもこうした堀内の確実性を「天性のモノ」と表現し、高く評価している。「すごい集中力を持った子で無理は絶対にしないし、センスで溢れています。成功するプレーを確実に見極めてやってくれますし、相手のディフェンスの位置や能力を見て、それに対応するプレーをしています」
堀内はほぼ出ずっぱりの約39分間プレーし、ターンオーバーを2に抑えつつ5得点7リバウンド8アシスト2スティールを記録。強豪の安城学園が相手で、メインコート行きの懸かった大事な試合でも、堀内は普段通りのパフォーマンスができる。山本コーチも「大きな試合になればなるほど彼女の良さが出てくると思います」と称賛を惜しまず、さらにこのように彼女への信頼を語った。「素晴らしい心臓やなと。私が間違った指示を出してもプレーの中で修正してくれます、彼女に任せておけばゲームのコントロールはやってくれる。監督としては楽をさせてもらっています(笑)」
1年生ながらも物怖じせずに自分の力を発揮できる八木と堀内。フレッシュなコンビが京都精華を冬の頂点へと導く。