カイル・ラウリー

「最後は一日契約を結んで、トロント・ラプターズの選手として引退する」

ラプターズを離れてヒートに移籍したカイル・ラウリーが『The Undefeated』のインタビューに応じて心境を語っている。

『ミスター・ラプター』の彼は、この夏にラプターズを離れることになった。パスカル・シアカムを始め、これから全盛期を迎えるタレントを抱え続けるには、離別は避けられなかった。「以前のトレードとは訳が違うよ。トロントでは人間的に大きく成長した。トロントで8年、タンパで1年、一つのフランチャイズに9年もいたんだから長いよね」とラウリーは言う。

マサイ・ウジリ球団社長とボビー・ウェスターGMとの関係、ラプターズへの愛着はこれまでと変わらない。「恨みっこなしだ。今も連絡を取り合っているよ。僕にとってはほろ苦い経験となったけど、やっぱりトロントは僕の故郷なんだ。これまでも言ってきた通り、最後は一日契約を結んで、トロント・ラプターズの選手として現役を引退しようと思う」

「僕が退団したことで、フレディ(フレッド・バンブリート)やOG(アヌノビー)が注目される。パスカル(シアカム)とも話している。若い彼らがこれからリーダーとして台頭するんだ。僕はラプターズを良いチームにしたと自負している。そのチームを弟たちに託したんだ。あいつらは本当に弟だよ。立場の上下はなくて、僕が年上だから兄貴なだけ。つまり家族なのさ。僕らは今後もずっと続く絆を作り上げた。彼らがどんな状況にあっても、僕はサポートし続けるよ」

それでも、ヒートで『年金生活』を送るつもりはない。彼がマイアミに行ったのは、2つ目のチャンピオンリングを取るためだ。「ラプターズで勝ち取ったリングは大のお気に入りだし、オリンピックの金メダルも持っているけど、欲を言えばもう一つ欲しいんだ」と彼は言う。

「一番ぴったりなチームだった」とラウリーはヒート移籍という選択を説明する。「優れた選手が揃っていて、なおかつ僕のような選手を必要としていた。僕が追い求めるのは優勝だ。大金はもらっているけど、何のためにプレーしているかと聞かれれば優勝するため、その高揚感をもう一度得たいからなんだ。どうやったらあの感覚をまた味わうことができるか、そればかり考えている」

開幕から1カ月が経過した。スタッツはやや落ちているが、加入早々にもかかわらずコート上で圧倒的なリーダーシップを発揮している。

今年の感謝祭、チームはロード4連戦の遠征中で、家族と過ごすことができない。だがラウリーは、新たな家族であるヒートの面々と感謝祭を楽しむつもりだ。「ラプターズでも遠征中に感謝祭の食事会をやったことがある。選手だけじゃなくスタッフも、マーケティング担当もSNS担当も全員呼ぶんだ。ルームサービスで七面鳥を頼んだりはしないよ。僕が僕のやり方で準備するんだ」

「子供の頃から感謝祭は楽しみだった。みんな集まって七面鳥のディナーを楽しむ。祝日のためというよりは、家族との時間を大切にすることを意味していた。お互いに感謝の気持ちを持ち、一緒にいる理由を考えるんだ」

今年の感謝祭のチームディナーも、その目的で行われるのだろう。個性の強いヒートの面々は『ハードワークの文化』で繋がっているが、ラウリーの存在はその結び付きをより一層強くするに違いない。