デュラントを抑えたグリーン「ずっと挑戦したいと思っていた」
ブルックリンで行われたネッツvsウォリアーズは、東西のベストチームが激突するNBAファイナル前哨戦として注目を集めた。試合開始から両チームとも、その期待に違わぬパフォーマンスを披露し、華麗なオフェンスゲームが展開された。第1クォーターはネッツのケビン・デュラントとウォリアーズのステフィン・カリーがそれぞれ12得点。第2クォーターになるとジェームズ・ハーデンとアンドリュー・ウィギンズがオフェンスを引っ張った。
ほとんど点差の付かない前半のラスト5秒、ネッツのシュートが落ちたところからウォリアーズの速攻が飛び出す。リバウンドを抑えたドレイモンド・グリーンがボールをプッシュしたウィギンズへパス。迷わず放った3ポイントシュートがブザーとともに決まり、63-58とウォリアーズが4点をリードして前半を終えた。
大混戦の最後にウォリアーズが抜け出した形だが、後半はずっとその流れとなる。第3クォーター開始2分でウォリアーズは5度のポゼッションのうち4回をシュート成功に繋ぐ8-0のランで、リードを2桁へと伸ばした。
この日のカリーは絶好調で、3ポイントシュート14本中9本成功を含む37得点を記録。ただ、カリーだけがすごかったわけではない。カリーの3ポイントシュートを警戒しなければいけないのは間違いないが、オフボールでゴール下に飛び込む選手への合わせのパスが面白いように決まり、カリーも相手ディフェンスの裏を突いては2点シュートを決める。ネッツ守備陣はペイントエリアをカバーせざるを得ず、するとカリーに外から射抜かれる悪循環に陥った。全員が阿吽の呼吸で動くチームオフェンスをベースに、加えてカリーが絶好調。今日のウォリアーズはどこが相手でも止められなかったはずだ。
第3クォーターを35-18と圧倒。このクォーターにデュラントをフリースローの3得点だけに抑えたことが、勝敗の決め手となった。主にマッチアップしたのはグリーンだ。「ずっと挑戦したいと思っていた。かなりやれたと思うよ」とグリーンは言う。スティーブ・カーも「今日のドレイモンド以上のディフェンスはあり得ないと思う」と称えた。
最終クォーターを迎えた時点で98-76。前半は全く分からなかった試合を、第3クォーターだけでウォリアーズは決めてしまった。カリーは37得点を記録し、コートを去る時には敵地にもかかわらずMVPコールを浴びた。
カリーは「プレーオフじゃないけど、それぐらいの気持ちで臨んだ」と、この試合が特別なものだったと認める。一方でデュラントは「ディフェンスが素晴らしかったと認めるしかない。オフェンスで取り戻したかったけど、15点、20点と点差が離れる状況で焦ってしまい、悪いシュートを打ってしまった」と語る。
ウォリアーズは12勝2敗とNBA首位を快走している。22歳のジョーダン・プールに19歳のジョナサン・クミンガが思い切りの良いプレーで活躍し、アンドレ・イグダーラも37歳とは思えないアグレッシブさを見せた。そしてスティーブ・カーは、2019年のNBAファイナルで膝のケガを負ってからはプレーしていないクレイ・トンプソンが、5対5の練習に参加していよいよ復帰が秒読み段階に入ったことを明かしている。
2日前にホーネッツに敗れて連勝が7でストップしたが、このネッツ戦の勝利はチームの士気を再び上げるもの。今のウォリアーズは怖いものなしだ。『王朝』はすでに復活しているのかもしれない。