ハーフタイムに「選手同士で話し合って問題解決をしていた」
川崎ブレイブサンダースが11月7日、ホームで富山グラウジーズと対戦した。前半を劣勢で折り返すが、36得点と大爆発のニック・ファージカスを軸に後半は富山を攻守で圧倒。87-74と見事な逆転勝利で、同一カード連勝で今節を終えている。
試合の先手を取ったのは富山で、ジュリアン・マブンガの力強いドライブに加え、上澤俊喜の3ポイントシュートなどで12-2とリードを奪う。そこから川崎もファジーカスのアタックなどによって盛り返すが、良い流れになったところで富山にタイムアウトで上手く流れを切られたりして追い上げきれず、第1クォーターを終える。
第2クォーターに入っても富山が主導権を握っていく。川崎の佐藤賢次ヘッドコーチはこう振り返る。「昨日に引き続き相手のゾーンディフェンスに苦しむ試合になりました。シュートチャンスは作れましたがリズムに乗れず、それがディフェンスにも影響して相手のペースで進みました」
その結果、終了間際に前半だけで18得点を挙げたマブンガに得意のディープスリーを沈められ、11点のリードを奪われる。
しかし、第3クォーターに川崎はファジーカスと藤井祐眞によって、開始から連続7得点と勢いに乗る。さらに本日15得点に加え、5オフェンスリバウンドを挙げたパブロ・アギラールが3ポイントシュートにプットバックシュートと内と外から加点。オフェンスが機能することでディフェンスの強度も上がる好循環となり、このクォーターだけで富山から7つのターンオーバーを誘発した。
これで完全に川崎ペースになると、第4クォーター早々に前田悟が速攻からレイアップを決め63-62と逆転。さらに藤井のスティールからファジーカスが3ポイントシュートを沈め74-65と突き放してオフィシャルタイムアウトを迎える。タイムアウト明けのポゼッション、川崎は藤井が前からプレッシャーをかけ8秒バイオレーションを誘発するなど主導権を渡さず、このまま押し切った。
佐藤ヘッドコーチは、後半の見事なカムバックの要因としてハーフタイムの会話を挙げる。「今日、良かったのはハーフタイムで私がロッカールームに入る前、選手同士で話し合って攻めのポイントなどを共有し、問題解決をしていたことです。今、選手たちで解決する力をつけることをテーマにしているので、そういう意味でも大きな勝利でした。後半、しっかりボールと人が動いて、ゾーンに対してチームで攻められたので、一つステップアップできたと思います」
「本来、目指しているのは全員が役割を果たすバスケ」
川崎は今日の勝利により、開幕節以来となる同一カード連勝となった。10月23日、24日のレバンガ北海道戦、初戦で勝利も2試合目で敗れたことを引き合いに出し、指揮官は連勝の意義を語る。
「北海道とのGAME2は不甲斐ない負けで、今日はそれを乗り越えていくことをテーマにしていました。地区優勝するために絶対に落とせないと思って臨んだ試合でした。前半、苦しい中で勝ち切れたのはとても大きい勝利だと思っています」
また北海道戦での敗戦は、佐藤ヘッドコーチの采配に大きな影響を与えた。今節、鎌田裕也、綱井勇介とこれまでプレータイムなしに終わることも珍しくなかった2人を、前半から短い時間でも起用している。その理由を次のように明かす。
「一番の要因は、北海道とのGAME2の反省です。ビッグラインナップを引っ張りすぎたことで、最後はエナジーを出せずに勝ち切れなかった。本来、目指しているのは全員が役割を果たすバスケであり、次の滋賀戦から全員がコートに立ち、それぞれが特徴を生かしてくれています。練習ではずっと良いパフォーマンスなので、信頼して使っています。前半、少しの時間でもああやって綱井が繋いでくれたので勝負どころで2ガードを使える。鎌田のおかげでニックがちょっとでも休めたことで、シュートが最後までショートにならずに済んだ。そういう風に繋がっていくと思うので、これからも全員で戦う姿勢を示していきたいです」
長いレギュラーシーズン、敗戦をいかに成長の糧にしていけるかは最後に大きな違いとなって出てくる。北海道戦での敗戦から、川崎はあらためて全員バスケで戦っていくことの大切さを再認識し、それを選手起用に反映させた。また、絶対に落とせないと明言した一戦で見せた、劣勢を跳ね返す勝負強さ。今日の勝利は、川崎にとってシーズンを振り返る上で一つのターニングポイントになるかもしれない。
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