ジェームズ・ハーデン

「まだ先が長いことは分かっているけど、必ずすべてを取り戻せる」

現地10月27日、ネッツはヒートに完敗を喫して、2勝3敗と負けが先行するスタートとなった。ワクチン接種を拒否するカイリー・アービングがチームを離れているが、不調の原因はそれだけではない。ヒートのように48分間、コートに立つどの選手もエネルギー全開で向かってくるチームが相手になると、ネッツの課題が明らかになる。スキルはあるがハードワークが足りない。

ヒート戦ではリバウンドで42-62と圧倒され、特にオフェンスリバウンドでは4-17と大きな差が出た。シュートの確率ではネッツが上回っていたにもかかわらず、フィールドゴール試投数に11本の差があった。これでは勝つのは難しい。

もう一つ気になるのがジェームズ・ハーデンの不調だ。5試合を終えて16.6得点は昨シーズンの24.6から大幅に減少している。その要因の一つは、シューティングファウルの基準が変わったことにある。今シーズンからルールが改正されて、ファウルを誘うプレーは難しくなった。その影響を最も多く受けると見られていた選手の一人がハーデンで、フリースローの数は7.3から3.0へと激減している。90%近い確率で決めることを考えると、ここで約4得点が消えた計算となる。

これに対し、ハーデンはルール変更ではなくコンディションの問題であることを強調している。昨シーズン終盤に彼はハムストリングスのケガを繰り返したが、プレーオフを戦うチームを助けるために無理をして出場し続けた。

「オフの3カ月すべてをリハビリに費やして、ピックアップゲームをやったりする機会が全くなかったんだ。30点とか40点を取れる状態に早く戻りたいけど、実際はまだまだ。焦ってはいけないと自分に言い聞かせている。今は苦しいけど、この経験がシーズンの終わりに僕を強くしてくれると信じている」

ハーデンはケガとの戦いをこう語る。「僕はこれまでのキャリアで大きなケガで手術するようなことがなかった。だから昨シーズンからの一連のアクシデントにはイライラしたよ。僕はバスケが好きで、たとえお金をもらわなくてもプレーするだろう。僕にとってプレーできないことは一番のストレスなんだ。自分が本来できるはずのプレーができないと楽しくないよ。でも、少しずつだけど調子を取り戻している。まだ先が長いことは分かっているけど、必ずすべてを取り戻せる。だから僕は戦い続けるんだ」

カイリーが不在でハーデンが強行出場、ケビン・デュラントが攻守にチームを牽引するのは昨シーズンのプレーオフと同じ構図。ただ、今はまだシーズン序盤で、一つの負けがチームの失敗に直結するわけではない。カイリー問題は長期化しそうだが、ハーデンが本調子を取り戻せば、それでネッツはどこが相手でも戦えるようになる。今は我慢の時期。ネッツの誰もがそれを理解している。