山口颯斗

佐古コーチ「チームのためにしっかり身体を張ってくれて頑張ってくれました」

レバンガ北海道はアウェーで行われた川崎ブレイブサンダースとの第2戦に69-63で勝利し、同一カードの連敗を13で止めた。

北海道にとって、川崎からの勝利は実に2018年1月以来。佐古賢一ヘッドコーチは「13連敗中という過去の数字は、今初めて知りました」と話すも、「あくまでも挑戦者」という姿勢で試合に臨んでいた。「川崎さんはリーグのトップチームで、勝とうと思って勝てるチームではない」と川崎撃破の難しさを語ったが、ロースコアゲームに持ち込んでの快勝を収めた。

この勝利のカギになったのはニック・ファジーカス、ジョーダン・ヒース、パブロ・アギラールを同時起用する、川崎のビッグラインナップ対策だった。第1戦ではヒースに7本のブロックショットを浴び、アギラールにはチームハイの18得点に加え、10リバウンド2ブロックを許した。第2戦でもこの高さとパワーには苦労したが、そこで決定的なイニシアチブを与えなかったことで勝機を見いだした。そして、特にアギラールと長い時間マッチアップした山口颯斗のディフェンスは光るものがあった。

佐古ヘッドコーチも対アギラールのディフェンスを勝因に挙げている。「昨日は山口も葛原(大智)も少しアギラール選手に押し込まれて。リバウンドに絡まれてしまいました。今日はとにかくビッグラインナップになった時に徹底的なシュリンク(中を固める)、ファーストパスに対して1番、2番のガード陣が対処していくことを徹底しました。ペイント内で自由にさせなかったところが勝因だと思います。地味な部分ですが、チームのためにしっかり身体を張ってくれて頑張ってくれました」

山口も「昨日はオン3の時に主導権を握られることが多く、僕がマッチアップしていることが多かったので、今日の試合はそこで流れを持って行かせないことを意識した」と語り、自身のプレーが勝敗に大きくかかわったことを感じていた。

3番選手が高さとパワーのミスマッチを突かれ、明らかに相手に分がある場合、チームはダブルチームで守るしかなくなる。だが、194cm90kgという恵まれた体格を持つ山口は、1対1でフィジカル負けすることなくペイントへの侵入を防ぎ、決定的な仕事をさせなかった。

「ファウルも4つできますし、身長差や体格差があるのでやられてしまうのは仕方がないと開き直って、相手からじゃなく自分からコンタクトすることを意識しました。上からはやられてもいいと言われているんですけど、僕としてはやられてばかりでは良い気持ちがしないので『止めてやる』と、気持ちの面で負けないようにやりました」

山口颯斗

「僕が守ったことによって勝ちに繋がった試合もある」

筑波大時代には得点王に輝くなど、もともと山口は内外から得点できるオフェンスが魅力の選手だ。だが今シーズンはディフェンス面での負担が大きいことも影響してか、平均6.4得点、3ポイントシュート成功率20.7%と苦戦している。

ディフェンスの負担が大きいと付け加えたのは、擁護の思いからではない。実際に山口は開幕からここまでの8試合で、トーマス・ケネディにペリン・ビュフォード、コービー・パラスにアギラールといった外国籍選手や帰化選手とマッチアップしてきた。エースキラーとスコアラーの両立は経験ある選手にとっても困難だ。

それでも山口は「積極的に行かないと次に繋がらないので、いくらシュートを外しても積極的にプレーしようと心掛けています」とアグレッシブな姿勢は崩さない強い気持ちを備えている。

そして、日本代表へのチャレンジも見据え、現在の状況を楽しんでいる。「日本代表になれば相手は全員外国籍選手なわけで、今のうちに国を代表する選手とマッチアップできているのは良い経験ととらえています。僕が守ったことによって勝ちに繋がった試合もあるので、自信ではないですけど、自分から倒してやろうという気持ちになっています。ただ、良い経験ととらえるだけじゃなく、上回るようにもっとやっていきたいという感じです」

山口は今月で23歳になったばかり。このまま各国を代表する選手たちとのマッチアップを経験し、持ち前の得点力も徐々に出せるようになれば、ツーウェイプレーヤーとしての評価も上がり、日本代表に選出されることも十分に考えられる。そのためにも、まずは北海道をチャンピオンシップ進出に導く攻守の活躍が求められる。