馬場雄大

「一人で海外で生きていくストレスはかなり減りました」

Gリーグテキサス・レジェンズと契約した馬場雄大がリモートで新天地に関する取材に対応した。

馬場は日本代表として東京オリンピックでプレーした後、すぐに渡米。スケジュールが合わずサマーリーグに参加することはできなかったが、スキルコーチとのワークアウトに励んだ。そして、NBAが主催するワークアウトにも参加し己を高めつつ、レジェンズを新天地に選んだ。それは「アメリカでプレーしたかったですし、NBAに一番近いのがGリーグ」という確固たる思いがあるからだ。さらに言えば、2年前に同チームに所属していたメリットを最大限に生かせるからだという。

「環境面やコーチ陣のところでアジャストする必要がないことは自分にとってプラスでした。レジェンズのトレーニングキャンプからよーいドンで始められる。そこのアドバンテージは強く感じました」

2年前にレジェンズでプレーした際は、41試合に出場し平均19.8分のプレータイムで、6.3得点、2.5リバウンド、1.3アシスト、1.0スティール、3ポイントシュート成功率41.1%を記録。素晴らしいプレーを見せていたが、新型コロナウイルスの影響でシーズンは途中で終了となり、昨シーズンはオーストラリアのメルボルン・ユナイテッドでプレーした。

イレギュラーな形でオーストラリアリーグに挑戦することになったが、馬場はこの経験も現在の糧になっていると確信する。「正直、2年前はアシスタントコーチだった伊藤拓摩さん(現長崎ヴェルカGM兼ヘッドコーチ)にいろいろと助けてもらったんですけど、オーストラリアでは彼のような人もいないので全部一人でやらないといけない。英語の勉強も頑張って、一人で海外で生きていくことが自分の経験になり、そこでのストレスはかなり減りました」

馬場は「2年前と同じ環境ですが、自分の成長をコートの上で表現できたら」と冒頭で意気込みを語ったが、すでにチームの信頼は得ており、また馬場自身の英語でのコミュニケーション能力も上がっている。そのため、『同じ環境』とは言っても、2年前よりも心身ともに良い状態でシーズンに臨めるはずだ。

馬場雄大

「3ポイントだけでは生きていけない。全方面から貢献できるように」

東京オリンピックのアルゼンチン戦ではチームハイの18得点を挙げたが、主にディフェンス面での貢献が求められ、オフェンス面でのインパクトは薄かった。『海外組』の一人として期待されたような数字を残せず、『不甲斐ない』という感情を抱いた馬場はその悔しさを忘れていない。2年前のレジェンズでも3ポイントシュートとディフェンスを主な役割とする『3&D』を任された。しかし、「いくらディフェンスや泥臭いところを頑張っても、最終的に見ているところは点数が取れる選手かどうか」という現実を目の当たりにし、さらなるオフェンス面での活躍を自身に課している。

「3ポイントだけでは生きていけない。様々なプレーができた上でのオーストラリアで残した3ポイントシュートの成功率が必要です。今シーズンは相手を引きつけて得点に持って行きたいですし、バリエーション豊かなプレーを見せたい。セルフィッシュになるのではなく、チームとして正しいプレーを展開できれば、自然と勝ちにも繋がるので、全方面から貢献できるように頑張りたい。このリーグで通用しなければNBAでもできないですし、得点に関しては最低2桁を目指していきたいです」

馬場は約2週間後の誕生日で26歳となる。アスリートとしては脂の乗った時期だが、NBAルーキーとしては決して若いとは言えない。それでも、馬場は「焦りはない」と言う。「オーストラリアでの経験も絶対に必要なものでした。今年は勝負だと思っているので、だから最高の準備をしてきました。NBAにコールアップされたり、次の1年をNBAでプレーできるように過ごしたい」

レジェンズはトレーニングキャンプを経て、日本時間の11月6日にシーズンが開幕戦を迎える。BリーグからNBA選手になる。その実現のため、最も大事なシーズンが間もなく始まる。