本調子ではない本橋は12分の出場に留まる
10月22日、富士通レッドウェーブは敵地で東京羽田ヴィッキーズを相手にシーズン開幕戦を実施。東京オリンピック効果によって、多くの観客が詰めかけた試合を76-48で制した。
序盤は両チームともオープンのシュートチャンスを作るが、決めきれずにロースコアの展開に。ただ、その中でも富士通はオコエ桃仁花のフィジカルの強さを生かしたドライブなど、ゴール下の決定力で上回りリードを広げていく。そして後半になるとオコエ、町田瑠唯、宮澤夕貴、篠崎澪の五輪代表カルテットを軸に富士通らしい速いバスケットボールを展開して突き放した。
一方、羽田はエースの本橋菜子が12分の出場のみ。萩原美樹子ヘッドコーチは、「本人、チームの希望もあってオリンピックに出場しましたが、かなり無理をしました。11月24日の受傷でケガをしてからまだ1年も経っていない。帰ってきてもう1回、しっかりリハビリを取り組みました。開幕にギリギリで間に合ったところでまだ、本調子ではないです。年明けくらいに100%で戻ってきてくれたらいいです」と状態を語る。チーム全体でシュート確率が低調だった羽田に、この試合で悪い流れを変えられる選手は登場せずジリ貧となってしまった。
最終的には大差がついたが、富士通の指揮官BTテーブスは「点差だけ見たら良い試合ができた感じがするかもしれないですが、内容的にはフラストレーションが溜まる試合でした。失点を抑えられたのは良かったですが、オフェンスがバタバタする時間が多かったです。遂行の部分で課題がまだあります」と総括する。ただオリンピック、アジアカップがあり、フルメンバーでの練習をほとんど行えない状況でのシーズン開幕を考えれば致し方ない。それよりも2つの大舞台を経験したオコエの成長、ENEOSサンフワラーズから加入した宮澤、中村優花の存在で、課題であったリバウンドやインサイドゲームの強化の片鱗が見られるポジティブな印象が強かった。
「この盛り上がりを継続してもらえるように」
オリンピックではアシストの大会記録を樹立する活躍ぶりで一躍時の人となった町田は、この試合で14得点8アシスト5リバウンドを記録。「元々、オリンピックが終わったら外すと決めていました」とお馴染みのヘアバンドを取ったこと以外は、いつもと同じの彼女らしいハイパフォーマンスだった。
ただ、本人にとっては消化不良だった模様。「出だしが重くなってしまって、自分たちのペースが中々できていなかったです。後半になって少しずつリズムが出てきて勝てたと思います」と試合を振り返ると、自身のプレー内容には反省しきりだった。「自分的には得点、アシストよりも出だしでチームのリズムを作れなかったことが印象に残っているので、そこはしっかり明日は修正していきたいです」
また、注目の新戦力、宮澤との連携については、代表でのチームメイト歴は長いものの、富士通の選手としては別問題で、発展途上と明かす。「正直、まだまだ合っている感じはしていないです。宮澤選手も富士通のバスケットにまだ慣れていない。どこでシュートチャンスを生かせるのか、そういうのはまだ迷っている時期だと思います。試合をやるにつれて良くなっていくと思うのでしっかりとリードしていきたいです」
オリンピック銀メダルの露出効果は大きく、この試合に限らずWリーグはここからの数節、多くの会場でチケットはかつてない売れ行きだ。「声援はできないですが、試合が終わって挨拶した時、ファンの方たちが手を振ったりしてくれたりと応援してくれているのがすごく伝わりました」とオリンピックの無観客を経て、あらためて観客がいる中でプレーできるうれしさを語る町田は、この人気を一過性で終わらせないための強い思いを持っている。
「オリンピックを通してたくさんの方にバスケットを見てもらえて、今年は特に注目してもらっていると思います。この盛り上がりを継続してもらえるように見ている方に楽しんでもらえるバスケットボールをやっていきたいです」
大型補強を行った富士通での悲願のタイトル獲得。そして、女子バスケ界の顔の一人として人気定着を牽引していく中心的存在を担う、町田の新たなるチャレンジがいよいよ始まった。
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