ケイド・カニングハム

注目の大物ルーキー、ケイド・カニングハムは足首の捻挫

ドラフト全体1位のケイド・カニングハムを獲得して注目されるピストンズだが、開幕に向けた準備は万全とは言えない。カニングハムは足首の捻挫でプレシーズンゲーム4試合すべてを欠場した。捻挫は軽度のもので長引くものではないと発表されており、ブルズとの開幕戦に間に合う可能性はあるが、ヘッドコーチのドウェイン・ケーシーは「万全だったら出場させる」と慎重な姿勢を崩さない。

2週間前にケガをしてから、ここ数日でようやく練習を再開したばかり。プレシーズンゲームでチームメートとプレーを合わせることもできず、出場できても『ぶっつけ本番』となる。

さらにはサディック・ベイも足首を捻挫、キリアン・ヘイズは脳震盪と、先発ラインナップから3人を欠くことになった。ピストンズは試合よりも練習を優先して、チームごとに4から6試合を選べるプレシーズンゲームを4回しか行わないことにしたが、ケーシーは結果的にこれが間違いだったことを認めている。

「スケジュールを決めるのはずっと前で、今の状況は予見できなかった。夏の時点ではとにかく練習時間を多く確保すべきだと思ったんだ。だが今は、プレシーズンゲームがあと2試合ぐらいあれば良かったと思うよ。全員の出来をゲームの中で確認しながら、どう組み合わせるべきか見てみたかった。どのチームもケガ人を抱えているから言い訳はできないが、少し出遅れてしまった」

それでも、収穫がないわけではない。1年前にピストンズに加入してエースとなったジェレミー・グラントは好調を維持。ピストンズでの1年で自信を強めた彼は、今シーズンも攻守の軸として期待できる。「ここに来たばかりの頃と今では、彼は全然違うよ。自分の得意なスポットを知り、どのタイミングでどう仕掛ければいいのかを冷静に判断できる」とケーシーは言う。

そしてカニングハムとは対照的に、注目されずに加入したドラフト2巡目(52位)指名のルカ・ガルザが、思わぬ収穫かもしれない。208cmの体格に似合わぬ俊敏さがあり、ボールに食らい付く気持ちの強さですでに地元ファンの心をつかんでいる。ガルザの台頭は主力の欠場が相次いでチャンスが回って来たからこその『ケガの功名』だ。さらにはアイザイア・スチュワート、ジョシュ・ジャクソンも良い動きを見せている。

もっとも、優勝候補のチームであれば開幕当初につまずけば周囲がザワつくが、大幅にメンバーを入れ替えて再スタートするピストンズは目先の結果を求められてはいない。スロースタートはむしろ、腰を据えたチーム作りをする上でプラスに働く可能性もある。まだ未知数のカニングハムより、計算できるグラントが好調なのはむしろ望ましい。ガルザのような思わぬ発見が開幕後にも出てくるかもしれない。ピストンズは慌てず騒がず、着実に自信と経験を積み重ねていくことが求められる。