チーム刷新は行われず、ディフェンスマインドの強化に取り組む
プレーオフ敗退後のデイミアン・リラードの発言により、トレイルブレイザーズは激動のオフを迎えると想像されました。それでも長年チームを率いたテリー・ストッツが退任し、チャウンシー・ビラップスが後任となるヘッドコーチの交代を除けば、噂されていたビッグトレードが起きることはなく、中心となるスターターの顔ぶれも変わらないままでした。ロールプレーヤーを入れ替える現実的な補強策でシーズン開幕を迎えます。
リラードを中心に優勝を目指す、全く新たなチームを作ることが予想されていただけに、肩透かしを食らった感はありますが、西カンファレンスで42勝30敗と好成績を残したチームであることを考えれば、はっきりとした改善ポイントがあり、それに沿った補強がなされれば、成績向上は十分に期待できます。
ビラップスは全員にディフェンスでの奮闘を求めることを明言しており、オフェンス力で打ち勝つスタイルからの脱却を図りますが、そのための補強としてラリー・ナンスJr.やコディ・ゼラー、パトリック・パターソンといったベテランを加え、インサイドに安定感を求めました。ユスフ・ヌルキッチにケガが多いことや、控えの若手が不安定だったことを考えれば理にかなった補強です。
ウイングにもトニー・スネルが加わり、ロバート・コビントンも含めてディフェンス優先の選手を並べてきました。カーメロ・アンソニーとの再契約を望まなかったように、ウイングとビッグマンには安定感とディフェンス力が期待されています。ただ、いずれもスポットシューターになれる選手のため、オフェンスでは3ポイントシュートで貢献することを計画しています。
クイン・クック、ベン・マクレモアなどのシューターも補強しており、3ポイントシュートは変わらず重視され、さらにガードにはデニス・スミスJr.を加えたため、リラードとCJ・マッカラムの控えもアタッカータイプで固めることになりました。総じてディフェンス力向上は求めたものの、ガード中心で3ポイントシュートを活用していくオフェンススタイルは継続となります。
継続路線のオフェンスとインサイドの強化による改善を図ったディフェンスという構図は、大崩れせずに戦う安定感に繋がります。一方でプレシーズンではウォリアーズに69本もの3ポイントシュートを打たれており、まだまだ不安も大きいのが現状です。時間をかけてしっかりと作り上げたチームだからこそ、劇的な変化を促すのは難しく、ここから新たに時間をかけてディフェンスマインドの強化に取り組んでいくことになりそうです。
少しでも負けが先行すればメディアからリラードのトレード話が再燃するでしょうが、周囲の声に惑わされずに改革を進めるべきシーズンになります。現役時代にディフェンス力の高いチームでリーダーシップを発揮してきたビラップスが、ヘッドコーチとしても同じことができるのか。ビラップス同様に試合終盤にビッグショットを決めまくるリラードがいるだけに、ディフェンスさえ整えば上位を狙うことも可能です。