ポール・ジョージ

継続路線のチーム作りで、ポール・ジョージを軸に成熟を進める

長年たどり着けなかったカンファレンス決勝へと進んだクリッパーズでしたが、カワイ・レナードのケガもあってファイナルにはたどり着けずに昨シーズンが終わりました。オフにはレナードと長期契約を締結して懸念を解消したものの、膝を手術した彼はシーズン後半まで戻って来ないことが予想されており、今シーズンの戦いは簡単ではありません。

そんな中、契約が残り1年になっていたパトリック・ベバリーとラジョン・ロンドを放出し、レジー・ジャクソンと再契約、エリック・ブレッドソーを獲得したことで、サージ・イバカ以外の主力全員が2年以上の契約を残していることとなり、継続したチーム作りを意図したオフの動きになりました。レナードのケガの状態を見極めながら『力を蓄える』シーズンになりそうです。

昨シーズン、リーグ最高の41.1%を記録した3ポイントシュートを武器としたオフェンスは、コートを広く使うスペーシングと、ガードを多く起用したスモールラインナップによるボールムーブで成立します。選手の顔ぶれが大きく変わらないだけに、このストロングポイントも変わることなく、ボールムーブがより洗練されることで3ポイントシュートのアテンプトも増えそうです。

クリッパーズ

キーになるのはディフェンス面で、ミスマッチが生まれても関係なく守れていたベバリーとレナードがいなくなっても同じ水準でチームディフェンスが成立するかどうか。フィジカルの強いブレッドソーは問題なくフィットし、またプレーオフで救世主的な活躍を見せたテレンス・マンはさらなる成長を見せてくれるはずです。マンマークの面では昨シーズン同様に機能しそうですが、ヘルプやリバウンドでも強みを発揮してきたレナードの穴を埋めるのは簡単ではなく、ここの成否がシーズン成績を左右しそうです。

プレーオフではポール・ジョージが9.6リバウンドを記録してレナードの不在をカバーし、攻守に渡って奮闘しました。新シーズンもレナード不在が長くなるだけに、ジョージの働きは欠かせない要素となり、MVP級の働きが期待されます。それと同時にチームとしては、長いシーズンを戦い抜く上でジョージの負担を軽減しなければいけません。

ダブルエースの一角が不在となるシーズンは苦労もありますが、本気で優勝に値するチームになるための良いトレーニングとも言えます。全局面で圧倒できるレナードを欠く中でもチームとして機能性を失うことなく戦うことができれば、戦い方の幅も広がってくるだけに、自分たちのスタイルをあらためて磨く良いチャンスとなります。